研究課題/領域番号 |
16H05580
|
研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
平井 和恵 東京医科大学, 医学部, 教授 (10290058)
|
研究分担者 |
飯野 京子 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 国立看護大学校 (00532350)
市川 智里 国立研究開発法人国立がん研究センター, 東病院, 看護師 (10588437)
野村 久祥 国立研究開発法人国立がん研究センター, 東病院, 薬剤師 (30774054)
平松 玉江 国立研究開発法人国立がん研究センター, 中央病院, 副看護部長 (30774187)
神田 清子 群馬大学, 大学院保健学研究科, 教授 (40134291)
細川 舞 岩手県立大学, 看護学部, 准教授 (70760908)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | Hazardous drugs / がん薬物療法 / 職業性曝露 |
研究実績の概要 |
目的1(抗がん剤静脈内投与方法の違いによる環境および看護師の個人防護具の汚染の違いを明らかにする)について、一般輸液セット使用しCPAを投与している施設は激減しており、計画通りにCPAと5FUの2剤を取り扱っている施設を対象にしようとすると対象施設が確保できない状況である。そのため、分析対象の抗がん剤(Hazardous Drugs)を5FUのみに絞って対象施設を確保し、施設でのデータ収集を続けている。現在10施設のデータ収集・分析を完了したが、現時点のデータ数では、まだ全体の結果を考察するには至らない状況である。 目的2(抗がん剤静脈内投与を受けた患者のリネン類の汚染の実態を明らかにする)については、汚染の実態把握に先立ち、汚染したリネンに対し異なる除染方法で洗濯した場合の除染効果の検証を行った。抗がん剤投与後48時間以内の尿失禁1回分に含まれると推定される量の抗がん剤(24.3㎎)で意図的に汚染させたガーゼ肌着5枚(実験群)を、汚染のない肌着5枚(対照群)とともに洗濯を行った。方法は①洗剤のみ、②水洗いのみ、③洗剤+次亜塩素酸ナトリウムの3パターンで、通常の洗濯方法で洗濯をした。なお、洗濯前後で洗濯槽内の抗がん剤汚染はNDであることを確認した。その結果、CPAでは①(実験群)113-190ng、(対照群)56.4~77.9ng、②(実験群)208~291ng、(対照群)すべてND、③(実験群)75-183ng、(対照群)33.3-43.9ngであった。尿失禁程度の汚染であっても、どの方法で洗濯しても残留があることが確認された。また、汚染のないリネン類と一緒に洗剤を用いて洗濯することで、汚染のないリネン類にも汚染が移ることが確認された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
目的1について、想定以上に一般輸液セットで対象薬剤を投与する施設の紹介が得られていない。これは協力施設の紹介には雪だるま方式をとっており、基本的に意識の高い認定看護師間での紹介であることから、一般輸液セットで投与している施設が少ないことが考えられる。また、紹介を受けた施設において、協力候補者(看護師)は協力の意向があっても、管理者の意向により協力を辞退する施設が複数あった。これは、調査に協力して汚染を示す結果が明らかになった場合、それに対応することは組織的な取り組みを要し、経済的に困難であることが考えられる。
|
今後の研究の推進方策 |
目的1について、現在、協力施設の確保は雪だるま方式で行っているが、がん化学療法認定看護師のいない施設への打診を依頼する。第一優先として、一般輸液セット使用群の汚染状況を把握することに意義があるため、一般輸液セット使用群のデータ収集に注力する。また、臨床でのデータ数が十分得られない場合、前回行った基礎実験の一部について、実験協力者数を増やしリテストを行う。
|