研究課題/領域番号 |
16H05598
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研究機関 | 聖路加国際大学 |
研究代表者 |
亀井 智子 聖路加国際大学, 大学院看護学研究科, 教授 (80238443)
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研究分担者 |
山本 由子 武蔵野大学, 人間科学部, 准教授 (00550766)
中山 優季 公益財団法人東京都医学総合研究所, 運動・感覚システム研究分野, プロジェクトリーダー (00455396)
亀井 延明 明星大学, 理工学部, 教授 (20233968)
東福寺 幾夫 高崎健康福祉大学, 公私立大学の部局等, 教授 (30383144)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 遠隔看護 / テレナーシング / 遠隔モニタリング / ヘルスリテラシー / 慢性疾患 / 慢性閉塞性肺疾患 / 筋萎縮性側索硬化症 / 糖尿病 |
研究実績の概要 |
1.患者参加型テレナーシングシステム開発と評価 セルフケアが重視される慢性疾患として、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、2型糖尿病(DM)、間質性肺炎(IP)、慢性心不全(HF)を対象として、昨年度までに開発した患者参加型テレナーシングシステムの管理画面を一部改修し、トリガ―ポイントの確認を平易にしたテレナーシング管理システムを完成した。また、誤嚥性肺炎に対応するため、テレナーシング用実践プロトコル第4版を作成した。本システムの適用可能性を検討するために、COPD1名、ALS3名、2型DM3名、HF5名に12週(計1,211回)テレナーシングを提供した。ALS1名の増悪をトリアージし、早期治療につなぐことができた。また、疾患別の心身状態の特性を分析し、主な管理のポイントを特定化した。また、国内外の学会において研究成果の発表を行った。 2.テレナーシング実践セミナーの開催と評価 テレナーシングや在宅モニタリングデータのトリアージ方法の理解と本研究成果を公開するために、テレナーシング実践セミナー(1日)を1月に開催した。内容は、①我が国の遠隔医療の動向と展望、②情報リテラシーの基礎、③テレナーシングの方法とエビデンス、④プロトコルに基づくテレナーシングの実践方法、⑤情報セキュリティの考え方、⑥海外の遠隔医療の実際、⑦遠隔コミュニケーション演習とした。参加者計12名のうち、1名はテレナーシングの実践経験を持っていた。参加者へのアンケートの分析から、講義、演習への参加満足度は高く、内容構成や時間配分は適切であると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、前年度に作成した患者参加型テレナーシングシステムを一部改修し、よりトリガーの判断を行いやすくした。また、患者調査を継続し、在宅モニタリングに基づくテレナーシングを安定的に実施し、データの蓄積を行うことができた。今年度の新規対象者数は12名となり、計1,211日のモニタリングとトリアージを行うことができた。また、豪州においての学会Success and Failure in Telehealth-17に研究成果を3題発表するなど、国際的にも成果を発表することができた。テレナーシング実践セミナーは、計画通り1回開催できた。論文を投稿したが、今年度中の掲載には至らなかった。また、平成30年度診療報酬改定により創設された在宅酸素療法遠隔モニタリング加算には、これまでの本研究成果によるデータが活用された。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、最終年度であるため、COPD、ALS、DM、HF患者のデータ分析を中心に進め、テレナーシングによる慢性疾患患者のヘルスリテラシーの変化について、検討を加える。また、テレナーシング実践セミナーを掲載し、テレナーシングの普及をさらに進めていく。さらに、豪州クイーンズランド大学オンラインヘルスセンターにおいて研修を受け、遠隔医療先進国の遠隔医療、および大学院教育の実際を見聞し、わが国への応用を検討する計画である。研究成果は、Nursing Informatics Australia、全米老年学会、欧州BIOSTEC2019において発表する計画である。
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