研究課題/領域番号 |
16H05603
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研究機関 | 広島文化学園大学 |
研究代表者 |
讃井 真理 広島文化学園大学, 看護学部, 教授 (20412330)
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研究分担者 |
佐々木 秀美 広島文化学園大学, 看護学部, 教授 (10352006)
山内 京子 広島文化学園大学, 看護学部, 教授 (10299315)
加藤 重子 広島文化学園大学, 看護学部, 教授 (40412332)
森田 克也 広島文化学園大学, 看護学部, 教授 (10116684)
土肥 敏博 広島文化学園大学, 看護学部, 教授 (00034182)
藤原 隆 広島文化学園大学, 看護学部, 教授 (30036496)
山田 晃子 広島文化学園大学, 看護学部, 講師 (20738174)
風間 栄子 広島文化学園大学, 看護学部, 講師 (20711237)
林 君江 広島文化学園大学, 看護学部, 准教授 (30517800)
岡田 京子 広島文化学園大学, 看護学部, 講師 (90758111)
石川 孝則 広島文化学園大学, 看護学部, 教授 (80461317)
佐藤 敦子 広島文化学園大学, 看護学部, 准教授 (70711191)
河野 保子 人間環境大学, 松山看護学部, 教授 (80020030)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 高齢者 / 介護予防 / BDNF / IGF-1 / エクササイズ |
研究実績の概要 |
介護予防の実現を目的とし,高齢者の抱える健康課題の洗い出しと,唾液中に分泌される神経栄養因子(BDNF, IGF-1)が「認知機能」、「身体機能」の向上をはかる「指標」となるとの独自の発想に立脚して,これら因子を効率的に増加させるエクササイズの「質」と「量」及び「それらの組合せ」から,科学的根拠に基づいた独自の介入プログラムを策定し,健康長寿実現への方法論の確立を目指した研究を展開している. 高齢者のスクリーニング,健康意識レベルと健康実態の調査(体脂肪量や筋肉量,骨量,体内水分量,骨密度等の体内組成・身体活動量評価・運動機能検査・認知機能評価・自律神経の均衡度とストレス検査・血管健康度検査など)を行ってきた.さらに唾液中の BDNF濃度の測定においては,唾液採取方法の改善,ELISA法の修飾により定量的測定を可能とし,唾液BDNF濃度が年齢とともに著明に減少することを明らかにするとともに,咀嚼運動及び楽器演奏(吹奏楽)によって分泌量が増加することを明らかにした.現在、IGF-1測定法についても検討中である. 研究同意の得られた学生(若者)で様々なクラブ活動をしているグループとしていないグループでの唾液BDNF, IGF-1濃度の比較,クラブ活動の前後,および咀嚼運動や脳トレーニングとの組み合わせでの上昇程度の検証から,唾液中のBDNFおよびIGF-1の身体機能,運動機能,認知機能における関係が明らかにし,これら因子を効率的に増加させるエクササイズの「質」と「量」及び「それらの組合せ」から,介入プログラム策定の可能性について追究している.その成果を地域の健康な高齢者および要支援Ⅰ・Ⅱ(フレイル状態)の高齢者に還元することにより独自の効果的介入プログラムの策定と実施,有効性を実証し,高齢者の身体的機能の維持・低下予防に資する.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
唾液中のBDNFおよびIGF-1の定量的な測定法の改良に時間を要したが,実用に耐えうる状態に到達できた.現在,学生(若者)を対象として,唾液中の当該物質と身体機能,運動機能,認知機能における関係が明らかにし,これら因子を効果的に増加させるエクササイズの「量」と「質」および「それらの組み合わせ」による介入プログラムの検証を行っているところである.今後,その成果を地域高齢者に還元し,独自の効果的介入プログラムを構築する.そのため,基礎調査として地域高齢者の健康実態調査を開始している.また,要支援Ⅰ・Ⅱの高齢者を対象として「歩行アシスト」を利用した歩行運動と独自の介入プログラムを組み合わせた介護プログラムの策定も視野に入れた検討を行う.要支援Ⅰ・Ⅱの対象者の確保に時間を要しているが,依頼施設を増やして対応している.
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今後の研究の推進方策 |
引き続き唾液中のBDNF, IGF-1濃度を指標として,これら因子を効率的に増加させるエクササイズの「質」と「量」及び「咀嚼運動」や「脳トレーニング」との組合せから,より効果的な介入プログラム策定について探究する. 地域高齢者およびフレイル(要支援等)状態の高齢者を対象としてプログラムの有効性を実証し,高齢者の身体的機能の維持・低下予防に資する.活力ある高齢化社会の実現をもたらす包括的研究として,高齢者福祉支援行政に対する基礎的資料の提供・提言に進みうる科学的エビデンスを提供する. 策定した介入プログラムの実施と成果の評価:①被験者にで得られた調査結果を開示し,介入プログラム実施の動機付けを行う.② 介入プログラムの説明と実施指導を個人及び集団規模で行う.③途中経過を評価(健康実態調査・唾液調査・分析)しながらプログラムを継続実施する(約1 年間).④最低2 年間追跡調査し,健康状態の評価及び要介護発生の有無(要介護移行率),要介護度の進行度から評価.⑤個人レベルでの評価および集団としての縦断的評価を行う.⑥近年,MICを有する高齢者は,認知機能だけでなく運動機能も低下がみられ, 運動と認知の機能低下が相乗的に転倒リスクを増大させることが報告されている.転倒リスクの改善について選択的注意課題(Flanker Task)に対するステップ反応解析で運動時の判断ミスから検出・評価する.⑦フレイル(要支援等)状態の高齢者への健康調査と唾液調査を行う.さらに,歩行アシストを活用した歩行プログラムを組み込んだ介入プログラムの策定,及び実施・評価を行う. 以上より,自立して地域高齢者が無理なく行えるプログラム,やり続けることができる金のかからない節約型のプログラムへ深化させる.
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