研究実績の概要 |
本研究の目的は、戦後直後に米国に流出した文化資料を、デジタル化して日本に持ち帰り日本においても閲覧可能とすることである。平成30年度は3年間の研究計画の最終年度として、下記を実施することにより、研究目的を無事に達成することができた。そして、研究成果の公表にも尽力した。 【ハワイ大学マノア校図書館との覚書締結】研究対象資料を所蔵している、ハワイ大学マノア校図書館に、前年度に引き続いて平成30年度もデジタル化作業等を委託するための覚書を締結した。科研費の性質上、年度毎の契約を要するため、前年度の契約を更新する補遺の方式をとり、迅速に実作業を開始した。 【文化資料のデジタル化及びテキスト化】研究対象資料である“Stanley Kaizawa Collection”は、第二次世界大戦後にGHQの検閲官として駐日したKaizawa氏が収集し、ハワイ大学マノア校に寄贈した資料である。同資料は、①GHQが検閲した歌舞伎台本の英語版原本(全3,360ページ)を始めとして、②当時の様子を撮影した写真アルバム(3冊)、③同Kaizawa氏へのインタビュー等で構成される。すでにデジタル化作業を終了している②及び③に加えて、①についても計画通りに、昨年度に引き続いて残り全て(1,647ページ)のデジタル化及びテキスト化を終了した。 【デジタル化した資料の公開】ハワイ大学マノア校のレポジトリより、2018年12月に当該資料を公開し、日本及び世界で閲覧可能とし、本研究の目的を達成した。 【国際シンポジウムの開催】2018年10月に日米の研究者による一般向けシンポジウム『戦後直後の歌舞伎検閲を通して文化について考える』を、東京とハワイをインターネット中継する形で同時開催し、両国で約100名の参加があった。 【報告書の作成】3年間の研究成果を纏めた報告書を作成し、関係者及び希望者に配布した。
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