研究課題
本研究は,中国をはじめとした東アジア地域におけるエアロゾル中の有害な多環芳香族炭化水素(PAH)誘導体について,[1]発生レベル・濃度分布を実大気観測によって明らかにすること,[2]それらの日本への越境輸送について明らかにすること,[3]越境輸送中の反応によるPAH誘導体の変質・二次生成過程を明らかにすること,[4]PAH誘導体によって引き起こされる種々の生体影響について検証することを目的としている。本年度は,中国遼寧省瀋陽市において捕集したエアロゾル中の化学成分について測定・分析を昨年度に引き続き行い,それら結果の解析を行った。瀋陽における大気粒子中のPAC濃度は,夏季と比べ冬季は数倍高いことが分かった。冬季におけるPACの主要発生源として,集中暖房に起因する大規模な石炭燃焼と家庭用小型ストーブでのバイオマス燃焼(木材など)が支配的であった。PMFモデルによる計算の結果,夏季におけるPACの発生源は石炭燃焼と自動車排出,多環芳香族炭化水素(PAH)のニトロ化体はそれらに加えてバイオマス燃焼の寄与,酸化体は大気内二次生成の寄与がそれぞれ無視できないことがわかった。特に,今まで発生源情報が少ないPAHの酸化体に関して,多成分間相関解析とPMF解析を使って,その発生源について,冬季には石炭燃焼,バイオマス燃焼,ディーゼル車が主に寄与し,夏季には燃焼系(石炭・バイオマス燃焼,ディーゼル車)発生源のほか,大気内二次生成も要因であると結論付けた。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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