研究課題/領域番号 |
16H05634
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研究機関 | 鈴鹿医療科学大学 |
研究代表者 |
翠川 裕 鈴鹿医療科学大学, 保健衛生学部, 准教授 (10209819)
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研究分担者 |
翠川 薫 鈴鹿大学, こども教育学部, 教授 (20393366)
中村 哲 広島文化学園大学, 看護学部, 教授 (40207874)
真砂 佳史 国立研究開発法人国立環境研究所, 社会環境システム研究センター, 主任研究員 (50507895)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | ラオス / タートルアン湿原 / マクヒアウ川 / 下水処理 / 水質 / ビエンチャン / COD / メコン川 |
研究実績の概要 |
[下水処理場なしに都市機能とメコン川の水質が保全されている都市 ラオス首都ビエンチャン]と題するパワーポイントを作成。人口90万人を有する首都ビエンチャンでさえ、今のところ下水処理場はない。このため、タートルアン湿原とマクヒアウ川がその役割を担っている。住民はメコン川の水から浄水場で処理された水道水を生活に利用していているが、使用後の汚染された生活排水を処理する下水処理場はない。廃水は、直接メコン川には流入せず、市内東部に蓄積して1640haの面積を有するタートルアンと呼ばれている湿原を形成する。同湿原に流入した各家庭の生活排水は、食物連鎖を経て自然に浄化される。汚水は、直接メコン川には流入せず、下水道を経由してタートルアン湿原に流れ込み、生物活動で浄化される。マクヒアウ川はビエンチャン市を迂回してはるかに離れたパクマクヒアウと名付けられた地点でメコン川に合流する。マクヒアウ川の水源は、汚水流入のため、水質汚濁されているが、川下に流下するに従い、浄化されていることが本研究でも判明している。いわば、下水処理場なき状態で、ビエンチャン市民の生活環境が守られている。これまでのデータによると、マクヒアウ川の水質は、川が下流に流れていく中で自然浄化していることが示される。今のところ、湿原とマクヒアウ川の自然浄化で水質浄化機能は維持され、下水処理施設建設は不要という結果を得ている。自然浄化力の一つの指標が、CODであるが、湿原に流れ込む下水のCOD値が50~100mg/Lであるのに対し、マクヒアウ川下水混入場所より0.5㎞下流で20となり、さらに4㎞下流の地点では、5以下示している。したがって、ビエンチャンでは、「下水処理場に政府予算を費やすよりは、もっと他の有効なインフラへ投資することを考えた方が賢明である。」結論する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2019年度の調査で、雨季は順調に推移したが、乾季調査を2020年2月下旬に行った際に、ラオス渡航予定の分担研究者がコロナパンデミックにより渡航不能となり、正確な大腸菌大腸菌群の菌数をマクヒアウ川上流からメコン川河口にかけての調査することができなくなってしまった。
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今後の研究の推進方策 |
ラオスの国境封鎖が解除されてから、現地調査を再開する。
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