研究課題/領域番号 |
16H05637
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
佐々木 猛智 東京大学, 総合研究博物館, 准教授 (70313195)
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研究分担者 |
池田 博 東京大学, 総合研究博物館, 准教授 (30299177)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | シーボルト / 自然史 |
研究実績の概要 |
本年度は、本研究グループのメンバーがこれまでに調査し、蓄積してきたシーボルトの自然史コレクションに関する知見を書籍「ナチュラリスト シーボルト 日本の多様な自然を世界に伝えたパイオニア」としてまとめた。しかし、この書籍には言及されていない資料も多く存在しており、このギャップを埋め、シーボルトが記録しようとした江戸の自然を復元することが本研究の目的である。例えば、シーボルトは生物については動物はFauna Japonica、植物はFlora Japonicaの大著を出版したが、鉱物についての書物は無い。しかし、鉱物については"Mineralogia Japonica"とも言うべき書物を出版する意図を持っており、未公表の鉱物に関する手書き原稿が存在していた。それを英訳してActa Sieboldiana Xとして出版されたのが、Siebold's "De Mineralogia Japonica"である。この出版により、シーボルトが日本の鉱物の産地についての情報と標本を収集し総括しようとしていたことが克明にあきらかになった。生物資料では、ドイツ、トランダ、イギリスにおけるシーボルト植物標本の調査を進め、その成果として、シーボルトとツッカリーニが記載したタイプ標本のステータスの検討シリーズのpart 9とpart 10が出版された。動物標本は、ライデンのナチュラリス生物多様性センターの標本室の工事が行われることになり閉鎖されたため、多くの分類群では調査計画を変更した。貝類標本はシーボルトコレクションの多くが分離されていたため、調査を継続することができた。また、アムステルダムからライデンに移管されたコレクションからシーボルト標本を抽出する作業はほぼ完了した。一方、これまで調査がほとんど行われていなかったロンドン自然史博物館の標本を調査した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
動物標本の調査がライデンのナチュラリス生物多様性センターの収蔵施設の工事のために遅れているが、ライデン以外の研究機関の標本は調査できている。また、植物、鉱物は問題なく調査を進行できている。従って、全体としては概ね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
今後、以下の研究機関、収蔵施設の自然史標本および関連文書資料の調査を進める。オランダ:ナチュラリス生物多様性センター、国立民族学博物館、シーボルトハウス、ドイツ:ミュンヘン州立植物標本館、ボーフム大学、フンボルト博物館、イギリス:ロンドン自然史博物館、キュー植物園。それぞれの機関について、シーボルトコレクションの全貌を把握することが重要である。2016年度の研究成果は2017年にドイツ・ボンで開催される国際シーボルトコレクション会議で発表する。
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