研究課題/領域番号 |
16H05642
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
奈良間 千之 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (50462205)
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研究分担者 |
浮田 甚郎 新潟大学, 自然科学系, 教授 (80272459)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 短命氷河湖 / 地中レーダー / アウトリーチ / ALOS-2/PALSAR-2 / 差分干渉SAR / 早期情報伝達ネットワーク |
研究実績の概要 |
短命氷河湖の地形や出水機構を知るため,キルギス共和国のキルギス山脈,テスケイ山脈,クンゴイ山脈において,2016年8月に1ヵ月間の現地調査をおこなった.キルギス山脈のアドギネ氷河前面では地温計のデータ回収,地中レーダー(GPR)探査,ドローン(UAV)による空撮,高精度GPSを用いたGNSS測量,テスケイ山脈では地温計・水位計のデータ回収,UAV空撮,GNSS測量,GPR探査,クンゴイ山脈では地温計・気温計の設置とUAV空撮,GNSS測量を実施した.今回の現地調査では,数ヵ月間で発達する短命氷河湖よりも2週間という短期間で出現・出水する超短命氷河湖の存在が明らかになった.現在出現する要因を調査中である. 地中レーダー(GPR)探査については,氷河前面のデブリ地形とデブリ氷河上で実施し,アイストンネルの空洞反射特性を調べた.巨大な空洞と小規模な空洞で反射特性が異なることがわかり,トンネルの存在が未知な場所でもある程度空洞を検出できることが示された. キルギス緊急対策省と気象研究所のスタッフと話し合い,2017年度にGISの技術講習会を実施することが決まった.また,研究対象地域のALOS-2/PALSAR-2の撮影回数を増やして短命氷河湖を監視する提案をJAXAにおこない,6月~8月の撮影回数の増加が決まった.2017年度からALOS-2とLandsat8を用いた早期情報伝達システムの運用を開始する. イニルチェック氷河のデブリ氷河の氷河上湖の季節変動についてまとめた論文がGeomorphologyに出版された.キルギス山脈の岩石氷河の調査結果をまとめた論文を作成し,投稿した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
JAXAとの共同研究を通して研究地域のALOS2/PALSAR-2の撮影回数が増えたことにより,今年度から早期情報ネットワークの運用が可能になった.6月~8月の3ヵ月間でALOS-2とLandsat8を用いてモニタリングを開始する. 短命氷河湖の地形や出水機構については,地中レーダー探査を氷河前面のデブリ地形ではじめて実施し,空洞の大きさによる反射特性の違いが明らかになり,地中レーダー探査はデブリ地形のトンネル位置の推定に利用できるということがわかった.ALOS-2/PALSAR-2の多時期の差分干渉SAR解析により流動が確認されたデブリ地形上でGNSS測量を実施しており,2017年度に催促する予定である.
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今後の研究の推進方策 |
本年度の課題は,ALOS-2/PALSAR-2とLandsat8/OLIデータを用いた短命氷河湖の検出と早期情報伝達ネットワークの運用を開始する.また,気象研究所において技術講習会の実施とキルギス国立大学において氷河災害セミナーを実施予定である. 現地調査では,GPR探査のサンプルを増やし,GNSS測量の再測,水位計データの設置,UAV空撮の再測をおこなう予定である.
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