研究課題
本研究は、(1)活断層調査、(2)地震災害聞き取り調査、(3)地震防災に関するtrans-disciplinaryな研究の3項目からなる。30年度は、ウランバートル周辺の活断層に関して新知見が得られ、上記(1)および(3)において飛躍的な成果があがった。2018年9月に実施した変動地形調査により、ウランバートル市街地を横断する、これまで未確認だった長大な活断層の存在が確認された。モンゴルにおいては2017年時点の知見により地震防災計画が決定済みのため、この発見は社会的な影響が大きく、早速、非常事態庁と相談してtransdisciplinaryな研究を開始した。2019年10月には同庁と共同で掘削調査を実施し、活断層であることの地質学的証拠も確認した。モンゴル科学アカデミー地震研究所とモンゴル国立大学も本格的に共同研究に加わることとなった。学術論文への速報を準備するとともに、対策の方向性に関する話し合いもスタートした。加えてモンゴル西部ホブド地域におけるハザードおよび防災体制を検証し、モンゴル国全体の防災についても検討した。
1: 当初の計画以上に進展している
ウランバートルの地震防災に大きな影響を及ぼす活断層の新発見を受け、日本側の調査体制を強化するとともに、モンゴル非常事態庁、科学アカデミー地理学研究所、地震研究所、モンゴル国立大学と緊密な連携を深め、活断層研究の基礎研究に留まらずtransdisciplinary(超領域)研究としても飛躍的な進歩があった。
新たに発見された活断層について、モンゴル科学アカデミー地震研究所と共同で掘削による地質学的調査を多地点で実施し、全長の長さおよび連続性について確認する。また地理学研究所およびモンゴル国立大学と共同で詳細な活断層地図を作成する。こうした基礎資料から地震に関するアセスメントを行い、非常事態庁およびモンゴル政府と共同で地震防災計画の見直しを検討する。4年間の研究計画の3年目に重要な発見があり、残り1年で防災計画の見直しまでを完成させることは難しいことが予想されるため、新たな共同研究計画の立案も視野に入れる。
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放送大学研究年報
巻: 36 ページ: 93-111