研究課題/領域番号 |
16H05650
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
眞田 靖士 大阪大学, 工学研究科, 准教授 (80334358)
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研究分担者 |
木多 道宏 大阪大学, 工学研究科, 教授 (90252593)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 震災復興 / 鉄筋コンクリート建築 / 建設技術 / 現地調査 / 地震防災 / 西スマトラ州 / インドネシア / 発展途上国 |
研究実績の概要 |
2009年インドネシア・スマトラ島沖地震により,同国・西スマトラ州ではRC建物が甚大な被害を受けた.現在,同州では復興が本格化しているが,再建されるRC建物において,震災教訓が活かされず震災以前の不適正な建設技術が依然散見される.本研究の目的は,①鉄筋不足などの被害原因が明らかになる中,建物の再建において,震災の教訓が適正な建設技術に反映されていない実態を統計データにより実証し,②適正な建設技術が普及しない原因を,被災地の建設技術者とのワークショップを通して分析し,被災地の地震災害耐性が改善に向かう復興のため,提言をまとめる,ことである. 平成29年度は,平成28年度に引き続き,パダン以外の西スマトラ州の4つの都市(Bukittinggi,Painan,Pariaman,Solok)を対象に,約50箇所の建設現場を調査した.また,これまでの調査結果に基づいて,震災教訓が活かされない復興実態への対策を検討するため,現地のRC建物の建設に関わる人々とのワークショップの開催計画を立案した.本年度はその第1段階として,調査したすべての都市から現地の建設技術者を招いて,建設技術に関する聞き取り調査と実習調査を実施した. これまでの研究結果より,新築されるRC建物において以下のような不適正な建設技術の利用が明らかになった:不適切な材料の使用,部材断面積の不足,鉄筋の不足と不適切な構造詳細,不適切な重ね継手,不十分な定着,などである.研究2年目に実施したワークショップの結果も併せて,2016-2018年現在の西スマトラ州において,建設技術に関する各種規定の社会への未浸透があることが定量的に明らかになった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度は概ね当初計画通りの研究を実施することができた.具体的な内容と現在までの成果は研究実績の概要を参照されたい.
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今後の研究の推進方策 |
最終年度となる平成30年度は,これまでに収集した建設現場と建設技術者の調査結果を整理,分析する.これらの結果に基づいて,第2段階以降のワークショップを開催して,適正な建設技術が普及しない原因の特定を目指す.また,本研究の最後に西スマトラ州の地震災害耐性が改善に向かう復興のための提言をまとめる.
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