研究課題
数万人規模の英国等で行われる複数の出生コホートの縦断的データを用いて、子ども期の逆境体験[虐待、いじめ、貧困(養育者の低い社会経済的地位)、本人の精神・行動障害(抑うつ・不安・精神病症状・自傷・希死念慮等)、養育者の精神障害等]が成人に至る一生涯の健康・生活への影響を立証するために生涯発達の視点から検討を続けている。英国ロンドン大学で行われる世界中の共同研究者との研究会議に定期的に参加し、解析・公表や次の計測計画について議論している。子ども期のいじめ被害体験が成人の健康サービスに及ぼす影響を社会的コストとして捉えて、英国King's College LondonとLondon School of Economicsとの英国大規模コホートを用いた共同研究で、子ども期のいじめ被害による50代までの社会的コスト[雇用・ヘルスサービス費用・貯蓄資産など]への影響が甚大であることを初めて明らかにし、学校での予防教育プログラムの費用の方が安価であることを示した(Brimblecombe et al, Social Science and Medicine. 2018)。これは逆境体験の累積インパクトを、「社会的コスト」によって<見える化>する試みであり、今後の健康政策・教育政策に示唆を与える結果である。
1: 当初の計画以上に進展している
国際誌や国際学会で着実に成果を公表できており、ロンドン大学で行われる共同研究者会議に定期的に参加して議論を続けている。
英国・ニュージーランドで行われる出生コホート研究に参加し、健康・生活習慣と教育・経済などの人生全体を見据えた生活環境全般を出生時から計測しており、数十年のフォローアップ期間を持ち、成人期の測定を定期的に行っている。申請者は海外共同研究者とそのデータ使用申請を済ませている。子ども期の逆境体験と成人期の健康・生活の変化について、それぞれのコホートの変数の把握、コホート間の比較ができるか調査・確認し、長期的な関連を検討する。
すべて 2019 2018 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件) 図書 (1件) 備考 (1件)
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www.p.u-tokyo.ac.jp/~takizawa-lab/