研究課題
カリブ海の亜熱帯・熱帯地域の島国は生物多様性が高く、未知の生物活性物質の発見が期待される。本研究では、キューバおよびドミニカ共和国において、世界で2種しかいない絶滅危惧種の有毒哺乳類ソレノドンや、民間伝承の薬用植物など、カリブ海の固有・希少な野生生物に関する生態化学的調査を実施し、有効成分の化学分析と生態学、進化系統解析を組み合わせることで、生物進化と生物多様性の謎に迫ることをめざした。1)キューバソレノドンの生態化学的調査:2017年8~9月(40日間)および2018年1月(12日間)に、それぞれ日本から2~3名がキューバ共和国を訪問し、バラコア市とベレテ村ユムリ渓谷、およびグラン・ピエドラ国立公園において絶滅危惧種の哺乳類であるキューバソレノドンの生息調査を行った。無人カメラによる調査、トラップ調査、痕跡調査などを検討したが、今年度はソレノドンの捕獲および生息の確認には至らなかった。またサンティアゴ・デ・キューバのビオエコ研究所を訪問し、現地の生態学者らとの研究打ち合わせおよびキューバソレノドンに関するシンポジウムを開催した。2)固有種の薬用植物の採取とエキス調製、生物活性評価:これまでに採取した固有種の植物抽出エキス23種に加えて、ベレテ村ユムリ渓谷付近にて薬用植物の採集を行い、10種類の植物を新たに採集した。今後これらのエキスのアルコール抽出物について、抗炎症活性および腫瘍細胞に対する細胞毒性を評価し、有効成分の分離精製と構造解析を進める予定である。
2: おおむね順調に進展している
本年度はキューバソレノドンの捕獲には至らなかったが、研究計画書に記載した現地調査がほぼ計画通り実施できており、順調に進展していると判断される。
これまで共同研究体制を継続してきたキューバ環境省、フンボルト国立公園に加えて、現地NGOや民間財団の関係者らと連携をより密にし、現地調査をスムーズに行う体制を整える。またドミニカ共和国における調査を実現するため、事前調査を念入りに行う。
すべて 2018 2017 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (11件) (うち国際共著 3件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (17件) (うち国際学会 4件、 招待講演 6件) 備考 (1件)
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