研究課題/領域番号 |
16H05659
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
池亀 彩 東京大学, 東洋文化研究所, 准教授 (40590336)
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研究分担者 |
石坂 晋哉 愛媛大学, 法文学部, 准教授 (20525068)
田辺 明生 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (30262215)
竹村 嘉晃 国立民族学博物館, 南アジア地域研究国立民族学博物館拠点, 拠点研究員 (80517045)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ポスト開発 / インド / 文化人類学 / 媒介 / 協同性 |
研究実績の概要 |
本研究は、当初の予定通り、研究代表者・研究分担者によってそれぞれのフィールドワークが遂行された他、年2回の研究会が行われた。 1、フィールドワーク:池亀は、南インド・カルナータカ州において宗教リーダーが促進する様々な社会活動に関する調査を行った。田辺は、東インド・オディシャー州において部族民のための情報センターの設立とその意義についての調査を行った。石坂はインド西部・グジャラート州での自然農園の調査を始めた他、自然農法の提言者である福島正信のインドにおける影響について資料収集・調査を行った。竹村は、南インド・ケーララ州の伝統芸能を担う演者や踊りのコスチュームを作る職人などの調査を行った他、彼らがインド国外に活躍の場を広げている状況をシンガポールなどで確認した。 2、研究会:昨年度は研究会を2度開催した。第一回研究会(開催日:2016年11月25日、開催場所:東京大学東洋文化研究所)。日本南アジア学会月例懇話会と共催で、英国エディンバラ大学社会政治学研究科社会人類学のジェイコブ・コープマン上級講師(当時は国立民族博物館客員准教授)をお呼びして、宗教と慈善・援助活動との関係について発表をお願いした。特にインドの新興宗教とそれが推進する献血運動について、そこでの贈与と倫理との錯綜した関係について発表され、活発な議論が行われた。第二回研究会(開催日:2017年3月10日、開催場所:愛媛大学法学部本館)。ここでは、研究代表者、分担者それぞれの調査・研究のこれまでの成果が共有された他、「ポスト開発」概念の歴史的・思想的位置付け作業が行われた。また「媒介」「協同性」という概念についても、さらに議論・検討を進める必要があることが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、代表者・分担者それぞれのフィールドワークは順調に進んでおり、また「ポスト開発」「媒介」「協同性」などの本研究の中心となる概念・方法についての議論・共有が確立されつつある。1年目は調査を中心に行う時期として位置付けられていたため、成果物は少ないが2年目・3年目にはそれも増加することが十分に期待される。
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今後の研究の推進方策 |
研究2年目はそれぞれの研究者による現地フィールドワークを継続する。また初年度と継続して研究会を定期的に行う。 1、現地フィールドワーク:池亀は南インド・カルナータカ州において、ダリト(旧不可触民)の宗教リーダーの活動を調査する。石坂はインド西部・グジャラート州の自然農園の調査、田辺はインド東部・オディシャー州の部族民族運動と生活状況向上のための運動についての調査、竹村は、南インドの芸能活動のインド国外への広がりについて、特にシンガポールを中心に、その受容動向についての調査をおこなう。 2、研究会:昨年度から継続して定期的に行う他、新しく再組織された現代南アジア地域研究東京大学拠点(TINDAS、代表:田辺明生、総括班代表:池亀彩)の活動と協力しながら、研究会を進める予定である。 3、理論のさらなる精緻化:昨年度は「ポスト開発」の概念を開発研究史において位置付ける作業をおこなったが、本年度はさらに媒介、協同性という概念がこれまでの開発研究で使われてきた概念とどう異なり、またこの概念を応用することによってどのようにポスト開発の新しい意義が見出されるのかについてさらに議論を進める。
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