研究課題/領域番号 |
16H05663
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
嶋村 鉄也 愛媛大学, 農学研究科, 准教授 (80447987)
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研究分担者 |
甲山 治 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 准教授 (70402089)
二宮 生夫 愛媛大学, 農学研究科, 教授 (80172732)
市川 昌広 高知大学, 教育研究部自然科学系農学部門, 教授 (80390706)
久米 崇 愛媛大学, 農学研究科, 准教授 (80390714)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 災害被害地 / 泥炭湿地 / 火山災害地 |
研究実績の概要 |
本年度は、これまで継続調査を行ってきたムラピ山域の調査区と、泥炭地火災に見まわれる中央カリマンタン州・パランカラヤ周辺において調査を行った。これまでの調査では、ジャワ人の移民が中心である村落Aでは、プカランガンとよばれる屋敷林が多く、農地に関する特定レジリエンスが発達しているということが明らかになった。また、先住民が中心となっている村落Bでは、屋敷林を所有している世帯の割合が低く、そこで栽培されている植物種数もあまり多くなく、農業以外にも漁撈などが生業の中心であった。近年では両村落において燕の巣採取のための建造物が爆発的に増加している。これらのことより、村落Aでは農地に関する特定レジリエンスが発達していることと、村落Bでは複数の生業を中心とした一般レジリエンスが発達しているようにも思われた。しかし、燕の巣営巣地の増加や、サービス業従事者の増加などから考慮すると、外部からの影響がそれぞれの村のレジリエンスに影響を与えていることも明らかとなった。 また、物質循環や土壌に関する調査についてもデータは集まりつつある。ムラピ山域では土壌の火砕流などによって堆積した砂質土壌は排水性が高すぎるため、植物の生育に不適であることが明らかになった。また、泥炭土壌に関しては、最大容水量に対して、難効性有効水は殆ど保水されず、易有効水・非有効水がそれぞれ3割程度保水されることが明らかとなった。これらのことより、泥炭土は保水性の観点からは作物の生育に必要な水を充分に含有しうることが明らかになった。ただし、長期的に見た場合、この保水特性と火災の関係についてより詳細な調査は必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまで、生業に関する調査・周辺の景観に関する調査・被災状況の把握などを行った。また、全てではないが水・物質循環に関する調査を開始している。一部の継続調査を行っている場所が火災に見舞われ、調査器具等を再設置しなければならなくなったことで研究計画に少し遅延が生じたが、現地カウンターパートの協力等もあり現在は遅れを取り戻している。
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今後の研究の推進方策 |
今後はこれまでの研究を継続して遂行し、長期的なモニタリングを行うと同時に、発展させていきたいと考える。これまで把握した大まかな土地区分に関連して、より詳細な化学的・物理的・生物的データを取得したいと考えられる。また、被災区いい気の復興状況に関して、過去のデータと比較し復興の度合いやレジリエンスを明らかにし、ここ数年の動向を調査したいと考える。
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