研究課題/領域番号 |
16H05667
|
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
山部 能宜 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (40222377)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 観経変相 / 地蔵十王図 / 敦煌 / クムトラ / デジタル復原 |
研究実績の概要 |
5月にパリのコレージュ・ド・フランスにて,退色が著しいギメ美術館所蔵の観経変相MG. 17669を可視化した上で,その内容をエルミタージュ美術館所蔵の別の観経変相Дх. 316と比較しつつ検討する講演を行なった.また,現地研究者との交流を行なった. 8月には北京のM. Woods美術館を訪れ,同館所蔵キジル仏教壁画の断片を調査したほか,現地研究者との交流を行なった.また9月にエルミタージュ美術館を訪問して,同館所蔵の敦煌・中央アジア仏教美術の調査を行ない,現地研究者との交流を行なった. 10月末には敦煌研究院で開催された「敦煌石窟研究方法論国際学術研討会 観念・技術 視野・視角」において,新疆亀茲研究院の趙莉副院長との連名で発表し,クムトラ第75窟の画像復原手法を,敦煌莫高窟の第285窟に適用することによって,莫高窟第285窟の用途を明らかにする可能性を提起した.引き続き,敦煌楡林窟および東千仏洞の調査に参加した.さらには11月にナポリで開催された「ヒマラヤ・中央アジア文明研究ヨーロッパ学会」主催のシンポジウム「中央アジア・ヒマラヤにおける儀礼の用具および反映としての聖像」において,ギメ美術館所蔵の地蔵十王図EO. 3580の赤外線写真に基づく分析の結果について発表を行なった. 12月にムンバイのソーマイヤ大学で開かれたシンポジウム「慈悲の具現化:仏教美術における観音」に参加し,ギメ美術館所蔵の観音・地蔵十王図EO. 1173の画像処理の成果を踏まえた研究発表を行なった.また引き続きカンヘリー石窟およびチャットラパティ・シヴァージー・マハーラージ博物館の調査に参加した.3月にはニューデリー国立博物館に蔵されるスタインコレクション中数点の撮影を行なった.現在これらの撮影結果については処理と分析を進めている.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記の通り,積極的に調査を進め,その成果を多くの国際学会で発表している.従って,研究は順調に進展していると言ってよいと思われる.
|
今後の研究の推進方策 |
今後は,既撮影資料の処理と分析を進め,その成果を随時発表していきたい.また,特にニューデリー国立博物館所蔵資料の撮影を継続し,現地研究者と共同で成果を発表する準備を進めたい.
|