研究課題
本年度は、まず4月にケンブリッジ大学で開催された敦煌学国際学術研討会において、「大英博物館所蔵浄土図(スタイン35*)の検討」と題する発表を行なった。退色が著しい当該浄土図をデジタル復原によって明瞭化したうえで、その内容に関する検討を行なったものである。また6月にコレージュ・ド・フランスで開催されたシンポジウム「第一千年紀におけるインドおよび中央アジア」において、「ギメ美術館所蔵浄土図EO. 1128の詳細な検討」と題する発表を行なった。そこでは、EO. 1128の典拠からの逸脱や、他のモティーフとの混淆等の問題を包括的に論じた。さらに10月に四川大学芸術学院で開催された「第二回国際宗教芸術与文化学術研討会」において、「観経変相:与《観無量寿経》的乖離」のタイトルのもと、中国語で発表を行ない、私の観経変相に関する一連の研究の概要を中国の研究者達に紹介した。また年を跨いで3月には、アジャンター、エローラをはじめとするマハーラーシュトラ州の主要な石窟寺院の調査と写真撮影を行なった。今回の調査結果は、コロナウィルスの影響で来年に延期された国際仏教学会大会での、石窟の用途と機能に関する発表の材料として用いるべく現在分析を進めている。さらに関係する研究活動として、2月に『梵文瑜伽書』英訳プロジェクトがハイデルベルク大学で開催したシンポジウムで、「『瑜伽書』における木のイメージの再検討:日本の密敎図像と比較して」と題する発表を行なった。これは日本の密教図像集『覚禅鈔』に見られる奇妙な木のイメージを『梵文瑜伽書』その他の禅観経典と関連づけて理解することを試みたものである。また11月に北京大学で開かれた「二〇一九年第二回中日古典学ワークショップ」で「白隠禅師之 "軟酥法" 與其背景」の題目で発表し、白隠の伝えた「軟蘇の法」なる観想法の背景に、禅観の伝統があったことを指摘した。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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La Lettre, College de France
巻: 44 ページ: 76-77
Investigating Principles: International Aspects of Buddhist Culture―Essays in Honour of Profesor Charles Willemen―
巻: 1 ページ: 397-419