研究課題/領域番号 |
16H05669
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研究機関 | 独立行政法人国立文化財機構九州国立博物館 |
研究代表者 |
島谷 弘幸 独立行政法人国立文化財機構九州国立博物館, 未登録, 館長 (90170935)
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研究分担者 |
小口 雅史 法政大学, 文学部, 教授 (00177198)
大塚 紀弘 法政大学, 文学部, 講師 (10468887)
丸山 士郎 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館, 学芸企画部, 室長 (20249915)
河合 正朝 慶應義塾大学, 文学部(三田), 名誉教授 (30051668)
恵美 千鶴子 独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館, 学芸企画部, 室長 (60566123)
須藤 弘敏 弘前大学, 人文社会科学部, 教授 (70124592)
森實 久美子 独立行政法人国立文化財機構九州国立博物館, 学芸部企画課, 主任研究員 (70567031)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 日本美術史 / 仏教美術 / 博物館 / 美術館 / 日欧交流 / 日本学 / 日本観 / 文化人類学 |
研究実績の概要 |
2年目となる29年度は、計画全体を見通した円滑な調査活動を進展させるため、事前交渉および予備調査を行うとともに、すでに協力態勢が整った館については日本仏教美術作品の悉皆調査を実施した。 事前交渉では、これまで調査の手が及んでいない博物館・美術館を中心に、新たな仏教美術作品の発掘と現所在が確認できなくなっている作品の調査要請などを行うため、当企画への協力を仰ぐとともに、データ公開のための契約書締結交渉も進めている。 本年度は、これまで所蔵館側の事情で調査が許可されずデータを入手できずにいた館のうち、作品の質量ともに高いところを優先的に選定し、調査および画像データの入手を開始した。2017年9月には、フィンランド・ヘルシンキのフィンランド国立博物館にて、同館の運用する所蔵品データベースを、日本において連携して運用するための調査を行った(小口)。2017年10月には、ドイツ・ポルトハイム基金民族学博物館にて、日本仏教美術作品(絵画、工芸など)の調査及び高精細撮影を行った。滞在中には、ハイデルベルク大学において調査成果の発表も行った(島谷、小口、山本、森實)。2017年11月には、イタリア、アラ・パチス博物館、バルベリー二宮、ピゴリーニ国立民族博物館、ウフィッツィ美術館にて、日本仏教美術作品の調査及び撮影を行った(河合)。2017年12月には、ドイツ・ブレーメン世界博物館にて、日本仏教美術作品の調査及び撮影を行った。 こうして収集したデータについてはチューリッヒ大学の在欧連絡事務所に一旦集約した上でデータを統一基準に基づいて点検し、不備のある場合は再調査ないし再度の情報提供を受けた上で、法政大学国際日本学研究所で用意しているストレージサービスによって、日本の企画本部およびデータベース担当(法政大学)に転送して、共同利用のための研究対象の素材の蓄積を推進している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
各国の博物館・美術館との協力態勢が構築できたうえ、日本仏教美術専門の学芸員がいない状況であるなか、本研究プロジェクトには大きな期待が寄せられている。当初計画をした館での調査を着実に進め、データ蓄積を行っている。 ケルン東洋美術館については調査の実施のみではなく、法政大学国際日本学研究所が公開している画像付データベース(Japanese Buddhist Art in European Collections〔JBAE〕)公開に向けての準備が整った。同じく、ドイツ・ポルトハイム基金民族学博物館についても調査データおよび高精細画像が揃っており、公開に向けての準備は着実に進んでいる。 海外協同研究者であるスイス・チューリッヒ大学による現地での交渉や調査も順調である。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度と同様、当初計画した調査を先方の都合を勘案しながらできるだけ調査を実施し、データの更なる充足を目指す。そのため、研究分担者、連携研究者、研究協力者、海外研究協力者による現地調査を多く実現できるようにし、それについての成果報告を行うとともに、データベースに登録するための交渉も進める。調査およびデータベース構築に対する協力態勢を築くための事前交渉も引き続き行っていく。とくにフランスの大規模美術館について現地の海外研究協力者ヨーゼフ・キブルツ氏を通じて改めて協力を依頼するほか、スウェーデン国立博物館の調査受け入れについて協力を依頼する。 具体的にはすでに調査を実施したドイツのケルン東洋美術館およびドイツ・ブレーメン世界博物館において、完全なデータを得るため再調査を行うほか、調査を終えているドイツ・ポルトハイム基金民族学博物館、ドイツ・ブレーメン世界博物館、ハイデルベルク・ポートハイム民族学博物館などについては、データベースの構築を進める。 成果の発表の中心となる在欧日本仏教美術データベースについてより使いやすい形への改造と表示項目の拡充を計画している。
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