研究課題/領域番号 |
16H05684
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研究機関 | 南山大学 |
研究代表者 |
後藤 明 南山大学, 人文学部, 教授 (40205589)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 天文考古学 / 天文学 / 考古学 / 民族学 / 文化人類学 / スカイスケープ / 星座 / 天体 |
研究実績の概要 |
まず6月に南山大学人類学研究所において全体会議を行い、各自の貢献の可能性と2016年度の研究計画について話し合った。後藤から4年間の研究の構想、基礎的な文献や仮説の説明のあと、2016年度に調査予定しているキリバスについて、キリバスで調査経験のある連携研究者の石村と大西から概要の説明があった。 それをふまえ8月には後藤、大西、石村の3名がキリバス調査に赴いた。調査は過去に行った経験をもち、現地のカウンタパートと知己でのある石村が中心となって調査許可や現地調整を行った。まずタワラ島で伝統家屋や遺跡(聖地)の調査を行った。さらにアロラエ島に飛行機をチャーターし移動し、島北端の岬にある航海石の調査を行った。方法はGPSによって位置を確認し分布図の作成を行うことであった。 この結果、かつてB.HilderおよびD. Lewisが報告していた航海石の存在は確認できたが、その位置関係にが不明確な部分について確認し、GPSデータとして記録することができた。 帰国してからそのデータを元に、方位と天文シミュレーションから見た天体との関係について分析を進めている。従来、推測されてきたように、その方位が目指す島の方を直接示すのではなく、それに至るために使われる星座の没入位置を同時に示す可能性が大きいのではないかと現時点では推測される。 これらの研究成果は後藤が南山大学人類学研究所の公開シンポジウム「天文学と人類学の融合第2回公開シンポジウム:人はいかにして時を知り、季節を愛でるのか」(3月5日)で発表し、現在2017年度内に出版準備中である。また後藤が現在出版を予定している(2017年5月刊行予定)著作『天文の考古学』(同成社)にて一部成果を発表する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2016年度はキリバスを含め、4年間の調査地のジェネラル・サーベイを予定していたが、すべての地域を短期間で周るのが無理だったために、キリバスで調査経験のある石村、大西によって現地カウンタパートの選定や調査計画をたて、2017年にキリバスで予定していた調査を前倒しで行うことができた。他の島での予備調査ができなかったことを指し引いて、概ね順調に進展していると判断される。
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今後の研究の推進方策 |
2017年度はミクロネシアのポーンペイ島およびコスラエ島で調査を行う予定である。 まず現地の主要な神殿遺跡の分布を確認し、ナンマドールを構成する遺構の主要なものについて、360度の景観撮影を行い、天文シミュレーションとの対応を分析することを中心とする。同様の調査をコスラエ島のレレ遺跡において行う。 調査に関しては英文および日本語で報告を出版し、さらに天文シミュレーションも兼ねて、市民向けに調査成果に関する写真展の他にプラネタリウムで上映することなども検討する。
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