研究課題/領域番号 |
16H05690
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
石田 慎一郎 首都大学東京, 人文科学研究科, 准教授 (10506306)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | アフリカ / 婚姻 / 慣習法 / 多元的法体制 / 社会人類学 / 法人類学 / ケニア国立博物館 |
研究実績の概要 |
石田慎一郎(研究代表者)ならびに松園万亀雄(連携研究者)は、平成29年度7月から9月にかけての38日間、ケニアに出張し、イゲンベ地方ならびにキシイ地方の農村でフィールドワークをおこなった。フィールドワークの開始に先立ち、ケニア国立博物館主任研究員ジュグナ・ギチェレ(研究協力者)ほかと打ち合わせをおこなった。日本学術振興会ナイロビ研究連絡センターにてセンター長に面会し、情報交換をおこなった。 上記の後、石田・松園は、キシイ地方にて、ソープストーン産業における労働組織について基礎的な情報収集を実施し、イゲンベ地方では、婚姻慣習法の具体的内容に関わる聞き取り調査を実施した。ほか、ケニア政府が導入したコミュニティ・ポリシング政策に対する地域社会への対応と認められる事例について追跡調査を実施した(石田)。ケニア政府が導入した高齢者福祉政策の地域社会への導入状況について昨年度に続いて聞き取り調査を実施した(松園)。ケニア人研究協力者ととともにメル町近郊のルイガ村の郷土資料館を訪問し、成果取りまとめに向けた打ち合わせをおこなった(石田・松園)。 馬場淳(連携研究者)は、平成30年2月に12日間、ケニアに出張し、ティガニア地方の農村におけるフィールドワークをおこなった。とくに、家族と婚姻の出来事を「証明」する装置としての写真に焦点を当て、ミキンドゥリ町のスタジオと農村において、家族と婚姻をめぐる住民の「記憶」に関して聞き取り調査を実施した。 板久梓織(研究協力者、首都大学東京人文科学研究科博士後期課程大学院生)は、平成29年度7月から10月にかけての94日間、ケニアに出張し、ケニア政府の調査許可証を取得したうえで、キシイ地方の農村におけるフィールドワークをおこなった。ソープストーン産業における労働組織について聞き取り調査を実施するとともに、グシイ社会の家族生活に関する基礎資料を収集した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ケニア政府が導入したコミュニティ・ポリシング政策に対する地域社会への対応と認められる事例について追跡調査は、平成29年度中にとりまとめが完了し、首都大学東京『人文学報』掲載の英文論文として公刊したほか、イゲンベ地方の固有法に関する英文論文がAfrican Study Monographsに掲載されるなど、研究成果のとりまとめと公開は、おおむね順調に進展している。ケニア人研究協力者の未発表論文を翻訳・紹介し、原文とあわせて関西大学法学研究所のジャーナルにおいて刊行することも実現した。婚姻慣習法の運用に関する新たな民族誌資料の収集についても順調に進展しており、平成31年度に予定している成果報告書(ケニア国立博物館刊行物としての出版を予定している)のとりまとめは、当初の予定通り実現するつもりである。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の1年目ならびに2年目は、イゲンベ地方、ティガニア地方、キシイ地方の各農村における慣習法運用の実態についての調査研究を中心に進めてきたが、平成30年度は都市部の地方裁判所における慣習法の運用について把握するための、裁判記録の閲覧等を実施する予定である。また、当初の計画の一部としていたクリア地方の民族誌的研究についても、平成30年度に実施する予定である。
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