研究課題/領域番号 |
16H05690
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
石田 慎一郎 首都大学東京, 人文科学研究科, 准教授 (10506306)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | アフリカ / 婚姻 / 慣習法 / 多元的法体制 / 社会人類学 / 法人類学 / ケニア国立博物館 |
研究実績の概要 |
研究代表者・石田慎一郎は、ナイロビ市のケニア国立博物館において主任研究員ジュグナ・ギチェレほかと研究打ち合わせをおこない、研究実施スケジュール、連携方法等について意見交換した。また、イゲンベ地方農村において、婚姻慣習法の具体的内容に関わる聞き取り調査を実施したほか、今回はとくに地域住民がそれぞれの個人名を獲得した社会的文脈についての調査を実施した。これを含むデータを収集することで、イゲンベ農村の婚姻、家族生活、ライフサイクルを総合的に理解するための手がかりを得た。メル町では、8月25日にケニア人研究協力者と共同で研究会を開催し、成果取りまとめに向けた打ち合わせをおこなった。 連携研究者・松園万亀雄は、イゲンベ地方農村において、婚姻慣習法の具体的内容に関わる聞き取り調査を実施したほか、ケニア政府が新たに導入した高齢者福祉政策の地域社会への導入状況に加えて、それぞれの事情により子供(孫)を扶養する農村高齢者(とくに女性)の日常生活について昨年度に続いて聞き取り調査を実施した。 連携研究者・馬場淳は、ティガニア地方農村において、家族と婚姻の出来事を「証明」する装置としての家族写真に焦点を当てた聞き取り調査について、2016年度以来、総計26世帯でのデータ収集を完了した。 研究協力者・板久梓織(首都大学東京人文科学研究科博士後期課程大学院生)は、昨年度に続き、キシイ地方において、ソープストーン産業における労働組織について聞き取り調査を実施するとともに、グシイ社会の家族生活に関する基礎資料を収集した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
最終年度の平成31年度に刊行予定の英文成果報告書(論文集)のとりまとめに向けて、研究代表者・連携研究者・研究協力者それぞれの進捗はおおむね順調である。また、平成30年度の業績として、論文3本ならびに書評論文2本(すべて単著論文・和文)を刊行している。 なお、平成30年8月から9月にかけて実施したケニア調査では、台風被害により関西空港が機能停止に陥ったことにより、連携研究者の帰国便がキャンセルとなり、当初予定の9月6日に帰国することができなかった。自然災害による当該事案を除けば、当初の予定通りに研究計画はおおむね順調に進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
平成31年度中には、英文成果報告書をとりまとめ、ケニア国立博物館刊行物として出版する予定である。ほか、研究代表者による単著書籍、婚姻慣習法の柔軟性と確定性を中心的テーマとした論文、アフリカ慣習法をテーマとする最新の研究成果(英文編著)についての書評論文を出版する計画が確定している。 なお、英文成果報告書は、当初の計画通り、初版を400冊作成し、うち300冊をケニア国内の研究教育機関、図書館、博物館、関係団体等に無料配布する。うち100冊は日本国内の研究機関、関係者およびケニア国内の関係者、インフォーマント等に無料配布する。
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