研究課題/領域番号 |
16H05707
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研究機関 | 東京国際大学 |
研究代表者 |
岡田 仁孝 東京国際大学, 国際戦略研究所, 教授 (50158812)
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研究分担者 |
堀口 朋亨 京都外国語大学, 外国語学部, 准教授 (20568448)
スタニスロスキー スミレ 東京国際大学, 国際戦略研究所, 准教授 (30636840)
Amponsah Samuel 東京国際大学, 国際戦略研究所, 准教授 (50741534)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | インクルーシブビジネス / 貧困削減 / BOPビジネス / 多国籍企業 / 組織間協力 / 現地パートナー / 持続可能な発展 |
研究実績の概要 |
インクルーシブビジネス(IB)は、貧困層を市場原理の中に包括し、貧困を削減し、持続可能な発展に貢献するビジネスである。経営手法に加え、社会課題解決に向けた世界の制度的発展や貧困層社会の制度への理解が必須で、いかに社会課題解決と利益創出活動を融合するかが要となる。制度とは、繰り返される人間の行動パターンにおけるゲームのルールとそのパターンを強化する仕組みなので、貧困層を先進国のビジネス制度の中に取り込むのか、企業が貧困層の制度の中に入り込みビジネスを構築するのか、ビジネスモデルと成果に多きく違いが出てくる。後者であれば、境界横断型組織間協力や現地密着型経営手法のような「制度的繋がり」が重要となる。また、この両極端を融合した、何らかの中間形態も存在するのかもしれない。 7名の研究員が、2016年度科研補助金にてインド7社とアフリカ4社の計11社、2017年度補助金にて、インド5社とアフリカ8社の計13社を調査した。加えて、インド2社とアフリカ1社において、現地パートナーの調査が許可されず未完成となった。それらを含めると2017年度は、計16社となる。ただ、インド人研究者による2社の遅れとインド国ダージェリンとケニアでの政情不安により、インド4社とケニアの後に予定していたガーナ1社の調査を、2017年度繰越金を申請し延期せざるを得なかった。しかし、ガーナ1社に関しては、企業数が足りないインドでの調査に変更し、2017年度繰越金にて、インドで5社を調査した。結果、計画していた24社の調査を2017年度補助金で達成し、未完成の3社を含めると27社になった。2018年度実施予定のアフリカ1社を含めると、全部で28社となる。 岡田が調査した内の6社は、3社が成功、3社が失敗している企業であった。対比すると、理由は異なるが、「制度的繋がり」が大きな違いを作り出していると分かってきた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
数々の状況が重なり、予定に遅れが生じてきた。(1)平成29年8月に予定されていたインド国ダ―ジェリンでの企業訪問の予定が、6月に独立運動派によるテロが発生し、現地受け入れ先から平成30年8月まで延期の要請があった。(2)インドチームの2人が、平成30年1月に米系と現地企業を訪問する予定が、企業の要請で延期となった。(3)ケニア国では、平成29年9月に企業を訪問する予定が、7月に大統領選挙に不正があったとして、反対派が暴徒化し、治安が悪化、海外協力者の協力が得られなくなり、調査を平成30年2月まで延期した。結果、その時期に予定していたガーナ国での1社の調査を平成30年9月まで延期せざるを得なくなった。これらの予定の変更が、計画を遅らせ、2017年補助金繰越申請をせざるを得なくなった。
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今後の研究の推進方策 |
予定を変更したインド、ケニア、ガーナでのインタビュー調査を平成30年9月までに完了させる。2018年度補助金にて、調査を終了したケースを分析し、それらをもとに、アジア経済研究所(IDE-JETRO)と共同でJETROにて国際会議を開催する。その後、ケースの出版を目的とした執筆を実施し、できれば、データ構築のために(1)質問票IDの統制、(2)個人情報保護法に抵触しそうな情報の書き換え、(3)データのデバッギング、(4)質問票の企業ごとの統合をできるだけ早く実施したい。これらの段階をえて、初めてDEDOOSEによる分析段階に入れる。但し、データ構築は全質問票が揃わないと実施できないので、その段階になって初めて、最終分析をいつ実施できるかが分かる。ただ、企業調査が遅れているため、2018年度の終わりまでに、どこまで実施できるかが見通せず、2018年度も繰越申請をしなければならないと思っている。
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備考 |
東京国際大学国際戦略研究所のウェッブページにて、3人の研究員が、このプロジェクトを説明している。
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