研究課題/領域番号 |
16H05708
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研究機関 | 武蔵大学 |
研究代表者 |
板垣 博 武蔵大学, 経済学部, 教授 (20125884)
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研究分担者 |
高 瑞紅 和歌山大学, 経済学部, 教授 (30420459)
金 熙珍 東北大学, 経済学研究科, 准教授 (40634530)
朴 英元 埼玉大学, 人文社会科学研究科, 教授 (90526485)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 経営の異時点間比較 / 能力構築 / 日本型生産システムの国際移転 |
研究実績の概要 |
夏期調査:平成29年8月23日~25日に、アメリカテネシー州の所在する自動車部品メーカーであるカルソニックカンセイ、自動車用フロアマット・カーペットを製造するVIAM社(日本バイリーンの子会社)、建設機械メーカーであるコマツの3社を訪問し、この20年間の経営の変化についてインタビュー調査を実施した。最も目立つ大きな変化は、製造現場に積極的に入り、改善や生産革新でイニシャティブを取るアメリカ人経営者の登場である。 次いで、8月28日~29日にメキシコのホンダおよびマツダ工場を訪問した。ここでは経営の在り方そのものにはそれほど大きな変化は認められなかったが、着実に規模を拡大しており、アメリカ市場との密接な関連がより重要度を増していることが確認できた。それとの関連でトランプ米大統領のNAFTA見なおし論に対しては意外なほど冷静な反応であったことが印象的であった。 春期調査:平成30年3月29日~30日に、上海のデンソー開発センターおよびパナソニック統括会社の自動車関連機器開発センターにおいてエンジニアならびに経営者を対象としたインタビューを行い、最近の中国自動車市場の変化ならびにそれへの対応を中心とした経営の変化について調査した。最近の中国自動車市場における最も顕著な変化としては、中国の民族系メーカーが「安かろう悪かろう」から信頼性と耐久性の面できちんとした品質の乗用車を開発しようとする姿勢に転換しつつあることである。そうした変化は日本のサプライヤーにとって本領を発揮する大きな機会が訪れつつあることを意味する。その際の最大のチャレンジは、日本メーカーのじっくりと時間をかけて高品質を目指すものづくりの在り方と中国民族系メーカーのスピードの速さとの間の折り合いをどう付けるかであろう。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度夏期のタイ、マレーシア、シンガポール調査においては、かなり多くの過去に訪問した生産・開発拠点を再訪することができ、ほぼ予定通りの調査を実施することができた。また、同年度春期の台湾・韓国調査においても過去に訪問した企業の撤退などにより完全な経営比較はできなかったものの、それは本調査プロジェクトの計画段階から想定されたことであり、その意味では順調に研究が遂行できたと言って良い。 平成29年度の夏期北米調査では、上述したように新たな発見があり質的には実りある調査ができたものの、予算の制約から調査期間が十分に確保できず、量的にはやや残念な進捗状況となった。同年度の春期調査では調査期間が短かったものの、中国地場メーカー最近の変化を確認できるという大きな収穫があった。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度には、チェコにおける訪問調査を予定通り実施する。 このチェコ調査で現地調査を終え、夏以降はメールでの情報交換や予算的に可能であれば研究会を開催し、3年間の現地調査の成果のとりまとめ作業に入る。
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