研究課題
大質量星を含む星団形成が既に起きている巨大分子雲で銀河系第4象限の代表的な若い大質量星形成領域として一昨年度に観測ターゲットに選定したRCW106領域を、昨年度に引き続き7-8月に南アフリカ天文台サザランド観測所のIRSF1.4m望遠鏡と近赤外線偏光観測装置SIRPOLを用いて近赤外線偏光観測を行なった。この結果、RCW106の観測領域の大部分を観測することができた。得られたデータは短期間で解析を行いRCW106の磁場構造を明らかにし、その結果を天文学会等で発表するとともに学術論文としてまとめて投稿した(平成30年4月に受理・出版された)。7-8月の観測では、代表的な大質量星形成領域であるM17の観測をRCW106が地平線下に沈む後半夜に合わせて行なった。また、今年度の3月には、分子雲ー分子雲衝突のトリガーで大質量星が形成された可能性が指摘されているSpitzerバブルと呼ばれる分子雲に於ける衝突の有無を磁場構造から探るために、比較的サイズの小さな2つのSpitzerバブル天体の近赤外線偏光観測も昨年度からの継続で引き続き行った。昨年度で観測が完了した大質量星形成領域Vela C分子雲の近赤外線偏光観測はデータを学術論文としてまとめて投稿中である。また、大質量星が形成されるのに十分な質量があるにもかかわらずまだ大質量星が誕生していない分子雲(将来的に大質量星が誕生する可能性がある分子雲)であるM17SWexの近赤外線偏光観測データ解析も行い学術論文として投稿中である。大質量星が誕生する分子雲と中小質量星しか誕生しない分子雲での星間磁場の違いを明らかにするために取得したSerpens South 分子雲の近赤外線偏光データの解析も行い、学術論文としてまとめて投稿し受理されている。
2: おおむね順調に進展している
RCW106、Vela C、M17SWex、Serpens Southの分子雲の観測データ解析は進展したが、Spitzerバブル天体その他はデータ解析があまり進んでいない。
引き続き南アフリカ天文台サザランド観測所のIRSF 1.4m 望遠鏡の観測時間を確保し、将来的な大質量星形成領域と考えられる赤外線暗黒星雲 や若い大質量星形成領域の偏光観測データをできるだけ多く取得して、星間磁場と大質量星が誕生した或いは誕生する可能性のある星団の形成の関連性について調べる。また 、研究時間をできるだけ確保してデータ解析を進 める。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件)
The Astrophysical Journal Letters
巻: 875 ページ: L6 (7pp)
10.3847/2041-8213/ab1346
Publications of Astronomical Society of Japan
巻: 印刷中 ページ: -