研究課題
VLTI (Very Large Telescope Interferometer) の中間赤外干渉計データにおいては,これまで,全フラックスデータの信頼性が天体サイズ見積もりに大きく影響を及ぼす問題があった.これに対して,高SNRの二次元スペクトル画像生成による,正確な全フラックススペクトルの測定を進めた.これにより,より確度の高いvisibilityが得られることになる.これらに基づき,赤外線で検出されるダストクラウドの3次元分布の新しいモデルを構築しつつある.CHARA (Center for High Angular Resolution Astronomy) 干渉計においては,天体導入撮像システムのアップグレードに向けて,AGN観測に十分な性能のシステムを確定,各望遠鏡につき一台の撮像装置(合計6台)を購入し,installationを進めてきた.これにより,赤外域では明るいが可視域で暗いAGNの素早い導入が可能になると考えられる.平成28年9月には,今までCHARA干渉計で観測されていなかったAGNの観測を試みた.フリンジは検出できなかったものの,観測可能性の検討に重要なデータが得られた.同時に,新しいデータ制約システムソフトウェアの開発を進め,フリンジ検出の新しい視覚化を行なってきた.これにより,2013年にCHARA干渉計においてAGNに対して検出したフリンジの確度を向上させることができた.この新しいソフトウェアは,CHARA干渉計での暗い天体の実際の観測中に,リアルタイムでフリンジの有無をモニターするソフトウェアに組み込むことが可能であり,この開発を進めつつある.
3: やや遅れている
平成28年9月の観測は,データは少し取得できたものの,2夜のうち1夜は悪天候のため観測ができなかった.また,CHARA観測所における補償光学システムのinstallationが,エンジニアリング夜の悪天候などもあって,遅れている.
CHARA観測所における補償光学システム導入は予定よりも遅く進んでいるが,一方で,新しいリアルタイムモニタリングシステムを確立することで,フリンジの検出効率を向上させることが可能ではないかと考えている.平成29年度に予定されている2回のAGN観測でこれを実行する予定である.
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すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 3件、 査読あり 2件、 謝辞記載あり 1件)
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