研究課題/領域番号 |
16H05737
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
林 政彦 福岡大学, 理学部, 教授 (50228590)
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研究分担者 |
東野 伸一郎 九州大学, 工学研究院, 准教授 (40243901)
白石 浩一 福岡大学, 理学部, 助教 (80299536)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 無人航空機 / 気球浮揚 / 成層圏エアロゾル / サンプリング / 自動制御 / パラシュート降下 / 滑空フライト / オーロラ撮像 |
研究実績の概要 |
気球浮揚無人航空機による成層圏エアロゾル観測,サンプリング,夏季の白夜のオーロラ撮像を実現するために,システム開発およびその試験を行った。年度当初の計画では,第59次南極地域観測隊の夏季行動での実施を計画したが,南極の現場状況と派遣隊員の状況,観測計画を考慮して,第59次隊での実施を見送り,第60次隊での実施を行うこととした。このため,2017年度は,国内におけるシステム開発を行った。 固定翼滑空機による制御則シミュレーションを実施するとともに,制御パラメータ決定のためのパラシュート降下空力測定計測装置を開発し,低密度大気における空気力学パラメータの取得を進めた。カイトプレーンについては,特に,オーロラ撮影のためのカメラ選定とマウンティング方法,撮像制御システムの開発を行った。魚眼カメラの搭載のためにロガロ翼の構造を中央分離形状にすることが望ましいとの結果となり,カイト翼の再設計を行った。 30km付近の高高度条件における成層圏エアロゾル採取のためのサンプラーの低密度大気採取特製の検討を行い,改良を行った。下記の南極における飛行シミュレーションを行い,夏季においては,高い確率で飛揚基地への期間が可能であることを示し,第60次南極地域観測隊でのオペレーションの計画立案のための準備試料を整えた。 オーロラ撮影のためのカメラシステムについては,背景光強度,オーロラ発光強度と撮像カメラ,CCD等の感度見積もりを行い,想定されるシステムにおけるオーロラ撮影可能条件(高度や太陽高度核)の推定を行った。 以上により,第60次南極地域観測隊での観測の実現性についての検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画していた第59次南極地域観測隊での観測を周辺状況を考慮して延期せざるを得なかった。この点で,予定通りという評価はできなかった。その分,観測システムの開発と運用に関する検討,エアロゾル,オーロラの計測装置の開発に対して十分に注力することができた。 エアロゾル観測装置,サンプラーについては,25km以上の高高度での運用について若干の問題があったが,これをチャンバー実験に基づき解消することができた。 オーロラ撮影に関しては,フィージビリティスタディとして背景港シミュレーションなどを進め,これまで予定していた,可視光領域より,近赤外領域の方が,背景光強度,オーロラ発光強度,撮像素子感度等を考慮するとより低高度での撮影が可能であることを明らかにし,必要な装置の選定を行った。購入,組立,試験は2018年度に実施し,第60次南極地域観測隊での観測実施に間に合わせることとした。
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今後の研究の推進方策 |
第60次南極地域観測隊は,2018年11月に出発する。2018年8月までに観測装置,カイトプレーン,気球浮揚システム,固定翼滑空機の開発,最終テストを完了させる。現場で観測に携わる隊員,同行者に対して,運用を確実にするための訓練を行う。 訓練は,大分県久住グライダー滑空場,阿蘇観光牧場グライダー滑空場,熊本新港などで実施をする。特に,8月には,モンゴルにおいて,気球浮揚滑空機の高硬度試験を行い,エアロゾル観測データ,サンプルの試験収集を行うとともに,観測システムの確認と運用手順等の精密化を図る。 2018年に南極でカイトプレーン観測を実施している隊員と連絡を取り,カイトプレーンの制御システムの問題点などについて検討,修正を行う。
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