研究課題
本研究の目的は,地球科学の未解決問題である大陸の形成や大陸の安定性の鍵となる大陸下マントル物質の成因,および地球史に置けるプレートテクトニクス開始時期とその様式について,西グリーンランド南部に分布する30億年前と38億年前に形成された変成岩・花崗岩からなる地質帯中のカンラン岩を研究対象とし,物質科学的に検証することである.研究実績の概要は以下の通りである.(1)従来の研究では着目されてこなかった周囲の変成岩・花崗岩の影響によるカンラン岩の改変過程を明らかにした. 野外での産状,鉱物相,全岩・鉱物化学組成の検討から,周囲の変成岩・花崗岩による化学的・物質的流入により,調査対象のカンラン岩類が大きく組成改変を受けていることが明らかとなった.そのうちの一部は,ある種の大陸下カンラン岩と類似するSiO2に富む特徴を獲得することがわかった.(2)カンラン岩の温度圧力履歴の解明. カンラン岩体の中に温度圧力履歴を推定するのに役立つ鉱物組み合わせ,微細組織を有するものがあることから,岩体の経験した温度圧力履歴を解析した.その結果,本地域では初めてとなるエクロジャイト相相当の温度圧力履歴を経ていることが明らかとなり,現在,その温度圧力履歴が可能なテクトニクスについて検討している.(3)上記の改変の影響を評価した上で,カンラン岩の火成岩としての成因について検討できる同位体組成を測定した結果,カンラン岩体の同位体的特徴は,現在のカンラン岩類とは大きく異なり,地球形成初期のレイトベニア 付加前の始原的な特徴を保持している可能性を指摘し,レイトベニア の特徴を議論した.我々の結果から,レイトベニア に相当する物質により,現在の地球表層の水成分が付け加わったことが初めて明らかとなった.
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (12件) (うち国際共著 11件、 査読あり 12件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (8件) (うち国際学会 6件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
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