研究課題/領域番号 |
16H05755
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研究機関 | 名城大学 |
研究代表者 |
高井 宏之 名城大学, 理工学部, 教授 (00324541)
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研究分担者 |
高田 光雄 京都大学, 工学研究科, 教授 (30127097)
内海 佐和子 室蘭工業大学, 工学研究科, 准教授 (10398711)
前田 昌弘 京都大学, 工学研究科, 助教 (50714391)
鈴木 雅之 千葉大学, 国際教養学部, 准教授 (90334169)
篠崎 正彦 東洋大学, 理工学部, 准教授 (10312175)
藤本 秀一 国土技術政策総合研究所, 住宅研究部, 室長 (10360463)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 集合住宅 / 超高層建築 / アジア / 建築計画 / 住宅管理 / 共用空間 / 共用施設 / スカイデッキ |
研究実績の概要 |
最初の調査対象都市であるシンガポールについて、次の事項を実施した。 1)調査対象4都市において共通で使用するヒアリング調査項目およびアンケート調査票を作成した。 2)調査Aとして8月に、現地の大学研究者、公的住宅供給主体(HDB)、不動産仲介会社、建設会社のヒアリング調査を行なった。またこれに併せ、調査Bの準備として、公的住宅4事例、民間住宅14 事例の視察調査を行なった。 3)調査Bとして11月に、公的住宅(2事例)について、居住者アンケート調査(135票回収)、個別居住者ヒアリング調査(21票回収)、および共用空間(スカイデッキ)の観察調査を行なった。また民間住宅について、視察とヒアリング調査(管理者)2事例、視察とヒアリング調査(管理者と管理組合)1事例の調査を行なった。 本年度の研究でわかったことは、計画面ではスカイデッキを中心とした共用空間・施設はよく計画・管理されていること。評価・利用面では居住者の評価は高く、高温多湿の気候の中で特に夕方から夜にかけよく利用されていること、であった。ただ、近年竣工のため居住者の年齢層は低く、これらが高齢者にどう貢献しうるかは今後検討を要する。なお基礎情報収集の一環として、日本の先進的な超高層住宅として「アイランドタワースカイクラブ(福岡市)」の視察調査を行なった。 一方、研究方法面では手探りの部分が多く、特に調査への協力を得ることのハードルが高かった。具体的には、調査Aでは、民間住宅供給主体、設計事務所、住宅管理会社のヒアリング調査ができなかった。調査Bでは、公的住宅についてアンケート調査を追加で実施、民間住宅については居住者ではなく管理組合のヒアリング調査1事例となった。次年度はこの経験を踏まえ、より調査協力を得られる工夫を行う。また本年度実施できていない調査の中で研究上不可欠なものについて、今後補足的に実施したいと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究方法面では手探りの部分が多かった。特に調査への協力を得ることのハードルが高かった。具体的には次の通りである。 1)調査Aでは、民間住宅供給主体、設計事務所、住宅管理会社のヒアリング調査ができなかった。前2者については、シンガポールでオフィスを構えている日系の大手建築設計事務所に依頼したが、了解が得られなかった。住宅管理会社については、調査Bのアンケート調査の対象であったHDBの2事例の管理会社を候補と考えたが、コンタクト先が不明なまま時間切れとなった。 2)調査Bでは、公的住宅については当初計画では居住者のヒアリング調査であったが、HDBの紹介が得られず、個別の居住者に現地で直接了解を得るアンケート調査に切り替え、その延長線上で個別居住者ヒアリング調査を行なった。また民間住宅については公的住宅と同様の方法を試みたが了解が得られず、管理組合のヒアリング調査1事例となった。(管理会社のヒアリング調査は3事例) 当社からの研究方法が変わった理由は、1)はコンタクトの時間に予想以上に時間を要したこと、2)は分譲集合住宅の所有・管理の仕組みを勘案した調査協力依頼の方法がなかなかわからなかったこと、であった。 なお、研究方法上の成果もあった。調査Aでヒアリング調査を行なった大学研究者(シンガポール国立大学建築学科 Johannes Widodo 准教授)には、調査方法についての現地状況に即したアドバイスや、調査協力のための学生派遣などの支援をもらい、現地の協力者の重要性を再認識した。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は研究課題の2年目で、香港を調査対象都市とする。内容の基本方針は当初通りであるが、研究方法は前年度の反省を踏まえ、次の改善を行う。 1)調査Aと調査Bの間に海外出張を1回追加し、調査Bの調査協力依頼を丁寧に行い、また更なる精緻な現地の情報収集を行う。 2)調査時期を6月(調査A)、8月、11月(調査B)とし、各種主体のヒアリング調査等の準備の時間を十分確保する。(状況によって8月・11月も含め調査Aを実施する) なお、調査Bの方法については、何が可能か/何が適切かを、住宅供給主体や大学研究者との十分協議することはシンガポールと同様に行うが、「日常利用される言語が英語よりも広東語」「公的住宅と民間住宅のシェアが半々」などの固有の事情に即し、柔軟に対応をして行く。
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