| 研究課題/領域番号 |
16H05759
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| 研究機関 | 独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所 |
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研究代表者 |
亀井 伸雄 独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所, その他部局等, 所長 (20099956)
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| 研究分担者 |
江面 嗣人 岡山理科大学, 工学部, 教授 (00461210)
海野 聡 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 都城発掘調査部, 研究員 (00568157)
友田 正彦 独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所, 文化遺産国際協力センター, 室長 (70392553)
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| 研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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| キーワード | ブータン / 文化遺産 / 建築 / 民家 / 版築造 / 類型 / 編年 / 実測調査 |
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| 研究実績の概要 |
研究初年次である本年度は、ブータン西部地域所在の版築造古建築の基礎的把握及び次年度以降における詳細調査計画策定のため、カウンターパートである同国内務文化省文化局遺産保存課（DCHS）と共同で以下の調査を実施し、併せて適切な調査手法の検討を行った。
＜第1回現地調査（2016（平成28）年8月28日～9月5日）＞
はじめにDCHSと今後の基本的調査方針等につき協議。その後、プナカ県内にて6村、計8棟の古民家を調査、さらにハ県内にて8村、計約14棟を調査し、これらも含めて詳細調査候補物件として約35棟程度を抽出した。プナカ県では、高地にあるノルブガン村でL字型平面の特徴的民家形式が集中して見られ、小規模な持仏堂に居住部分を付加することによってこのような形式が成立した可能性が想定される。一方、ハ県内の各村では最上階の両側面版築壁が袖壁状に正面に達する間に木造開口部を組み込む形式が比較的多いが、このような形式は他県では殆ど見られない。また、いずれの県においても古式と思われる民家数棟を特定することができた。
＜第2回現地調査（2017（平成29）年3月4日～16日）＞
前回調査の結果と、その際に得られた情報をもとに、ティンプー県及びプナカ県内での調査を行った。ティンプー県では、高地集落であるゲネカ郡内等で基礎的調査を行ったほか、コマ村等で3棟を対象に実測を含む詳細調査を実施した。また、ティンプー市内の文化局庁舎でDCHSほか関係機関スタッフを対象とするワークショップを開催した。その後プナカ県に移動し、チャンユル、チャンジョカ、ガラカ、ツォーサ、ジャジンカ、ノルブガンの各村で、計13棟の民家について実測を含む詳細調査を実施した。これにより、開口のごく少ない閉鎖的外観の建物が増改築を経てラブセと呼ばれる出窓を持った開放的外観へと変貌していく過程について考察する上での多くの手がかりが得られた。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画に従って、2次にわたる現地調査をブータン側カウンターパート機関と共同で実施することができた。調査対象としているブータン西部地方のうち、特にプナカ県とハ県については、建築年代が古いと思われる版築造民家の所在を相当程度把握することができたものと考えている。
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| 今後の研究の推進方策 |
ここまでの調査経験を通じて、古式の民家建築を見分けることがかなりできるようになってきた一方で、編年の考察に関しては、明確な年代判定指標となるような形式や技法の違いを十分に把握するまでには至っていないため、引き続き調査事例を増やしつつ、この点についての検討を深めていきたい。
また、ブータン側カウンターパートから共同調査への参加を通じて新人スタッフの育成を図りたいとの期待が強いことから、これに応えるため、調査研究技術の移転についてもさらに留意しながら実施していく予定である。
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