研究課題/領域番号 |
16H05763
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
田村 実 京都大学, 理学研究科, 教授 (20227292)
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研究分担者 |
布施 静香 京都大学, 理学研究科, 助教 (30344386)
池田 博 東京大学, 総合研究博物館, 准教授 (30299177)
米倉 浩司 東北大学, 学術資源研究公開センター, 助教 (00302084)
藤川 和美 公益財団法人高知県牧野記念財団, その他部局等, 研究員 (60373536)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 植物の種多様性 / 植物の南北移動史 |
研究実績の概要 |
平成28年度は、海外植物調査を2回行うことができた。いすれもタイのBKFとの共同調査で、1回目はタイ北部で7月の雨季に行い、2回目はタイ中部で3月の乾季に行った。 1回目の調査では、Doi Chiang Dao(チェンマイ県)とDoi Phu Wae(ナーン県)という2つの石灰岩の山を調べ、被子植物を中心に98科194属を同定し、合計460点のさく葉標本を作製した。この調査において、これまでタイではDoi Chiang Daoでしか知られていなかったLilium bakerianum(ユリ科)やTheropogon pallidus(クサスギカズラ科)をDoi Phu Waeからも発見し、両種が氷期に比較的広範囲にわたってタイに南下していた可能性を示唆することができた。また、形態・染色体・DNAの解析の結果、中国のChloranthus holostegius(センリョウ科)は、タイやミャンマーなどに分布するC. nervosusの変種の可能性を示唆することができ、さらに、タイには"nervosus"と"holostegius"の両方が分布することを見出した。 2回目の調査では、カーンチャナブリー県とナコーンナーヨック県を調べ、38科56属の被子植物を同定して、合計128点のさく葉標本を作製した。この調査は、多くのCurculigo(キンバイザサ科)やPeliosanthes(クサスギカズラ科)の花期に合わせたものであり、Curculigoの変異を詳細に抑えるための資料を収集することができ、東南アジアにおける植物の南北移動の歴史を解明するための代表植物の1つとして、Peliosanthesの資料も収集することができた。 また、平成28年度に行った2回の調査を通して、特にツユクサ科、ヤマノイモ科、コショウ科などのさく葉標本や資料を多く集め、種多様性の解析を重点的に進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成28年度は、当初の計画では、海外植物調査はタイ北部の1回だけの予定であったが、結局、タイ北部のDoi Chiang DaoとDoi Phu Waeの調査に加え、時期を変えてタイ中部の調査も行うことができたことにより、より多く、またより広範囲からさく葉標本や資料を収集することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、予定通り、ミャンマーのシャン丘陵、中国の横断山脈、タイ南部の海外植物調査を進めていき、中国横断山脈~マレー半島の被子植物の種多様性の解析と南北移動の歴史の解明に近づきたいと考えている。特に、平成29年度は、ミャンマーのシャン丘陵の調査を予定している。
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