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2017 年度 実績報告書

キューバのアノールトカゲで複数回進化した開放高温環境への適応進化仮説の検討

研究課題

研究課題/領域番号 16H05767
研究機関東北大学

研究代表者

河田 雅圭  東北大学, 生命科学研究科, 教授 (90204734)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワード温度適応
研究実績の概要

昨年度に引き続き、キューバアノールトカゲを対象に、異なる環境への進出が起きた系統樹上の分岐点において正の自然選択を受けた遺伝子、または、その変異箇所を遺伝子配列の比較解析による推定を行った。解析には、低温森林深部環境に生息する3種(A. isolepis, A. allogus, A. mestrei)と高温開放環境に生息する2種(A. allisoni, A. sagrei)の遺伝子のコード領域の配列を用いた。昨年度実施したPAMLによる解析に加え、McDonald-Kreitman test(MK test)も行い、この2種間において適応進化した遺伝子を推定した。高温開放環境に独立に進出したと推定されたTrunk-crownグループのA. allisoniとTrunk-groundグループのA. sagreiの2種において正の自然選択を受けた遺伝子を独立に推定した結果、それぞれの種で、92個と202個の遺伝子が検出され、3つの遺伝子が2種で共通して検出された。また、MK test を行った結果、A. allogusとA. sagreiの間において、計90の遺伝子が適応進化したことが推定された。これらの遺伝子の内、A. sagreiにおいて、PAMLによっても正の自然選択を受けた推定された遺伝子は、4つあった。A. allisoniとA. sagreiの2種で共通してPAMLによって正の自然選択が検出された3つの遺伝子のうち、tgfb1は、皮膚に多く含まれる1型コラーゲンの転写を促進している。この1型コラーゲンをコードするcol1a1とcol1a2は、MK testによって検出された。また、室内実験によって、A.sagreiとA.allogusの日周活動の違いを測定した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

キューバでのフィールド調査後、ハリケーンに遭遇し、サンプルを日本に持ち帰ることができず、数ヶ月解析が遅れた。その後、解析が進み遅れを取り戻している。

今後の研究の推進方策

当初の計画を若干変更し、キューバ5種の全ゲノム配列を決定して、温度適応に関わる遺伝子を検出することにした。最終年度には、少なくとも2種のアノールトカゲの全ゲノム配列が決定する予定である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Factors restricting the range expansion of the invasive green anole Anolis carolinensis on Okinawa Island, Japan2017

    • 著者名/発表者名
      Suzuki-Ohno, Y., K. Morita, N. Nagata, H. Mori, S. Abe, T. Makino, and M. Kawata
    • 雑誌名

      Ecology and Evolution

      巻: 7 ページ: 4357-4366

    • DOI

      10.1002/ece3.3002

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Inferring evolutionary responses of Anolis carolinensis introduced into the Ogasawara archipelago using whole genome sequence data2017

    • 著者名/発表者名
      Tamate, S, W. M. Iwasaki., K. L. Krysko, B. J. Camposano, H. Mori., R. Funayama., K. Nakayama., T. Makino and M. Kawata
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 7 ページ: 18008

    • DOI

      10.1038/s41598-017-17852-7

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] キューバアノールトカゲにおける高温環境への適応進化に関わる遺伝子の探索2018

    • 著者名/発表者名
      金森駿介, 赤司寛志, Antonio Cadiz, Luis M. Diaz, 佐藤大気, 牧野能士, 河田雅圭
    • 学会等名
      第65回日本生態学会大会
  • [学会発表] 森林から半砂漠環境への適応進化の遺伝的基盤の解明:キューバアノールトカゲを用いて2017

    • 著者名/発表者名
      石井 悠・Antonio Cadiz・Luis M. Diaz・Karolis Janusevicius・赤司寛志・丸山真一朗・河田雅圭
    • 学会等名
      日本進化学会第19回大会
  • [学会発表] 異なる温度環境に生息するアノールトカゲにおける概日リズム2017

    • 著者名/発表者名
      金森駿介、Antonio Cadiz、L. M. Diaz、河田雅圭
    • 学会等名
      日本進化学会第19回大会

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公開日: 2019-12-27  

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