研究課題/領域番号 |
16H05777
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
石川 隆二 弘前大学, 農学生命科学部, 教授 (90202978)
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研究分担者 |
一谷 勝之 鹿児島大学, 農水産獣医学域農学系, 准教授 (10305162)
齊藤 大樹 国立研究開発法人国際農林水産業研究センター, 熱帯・島嶼研究拠点, 任期付研究員 (10536238)
佐藤 洋一郎 大学共同利用機関法人 人間文化研究機構本部, 大学共同利用機関等の部局等, 理事 (20145113)
中村 郁郎 千葉大学, 大学院園芸学研究科, 教授 (50207867)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | イネ系統分化 / 野生集団 / ルフィポゴン / オーストラリエンシス / ゲノム |
研究実績の概要 |
PNGではラエ工科大学のTom Okpul (Environmental Research & Management Centre)の支援を受けることとなり,先方がイネ遠縁種ですすめる土壌改善のための遺伝資源解析論文についての協議をすすめた.さらに,現地支援を受けることでPNG中部のイネ遺伝資源探査を2018年に進めることにした. オーストラリアではオーストラリア・クイーンズランド州西部の遺伝資源探査を行って,イネ属オーストラリエンシスの集団調査を行うとともに,引き続きルフィポゴン種の自然集団の探査を行った.しかし,西部ならびに東部からの移動においてルフィポゴン種が2集団でしか認められなく殆どの集団が東部に集中していることがわかった.一方,オーストラリエンシスは西部に多く認められ,その集団中の多様性評価についてはDNAマーカーを開発することした.新たにオーストラリエンシスゲノムのリード解析から,葉緑体マーカーならびにSSR マーカーを開発し,多型検出を確認した.これらは集団構造解析に利用して全体像が明らかでないオーストラリエンシスの集団構造と多様性起源地について利用することとなった. 種間交雑により新種が生じるシステムについてはP5集団での集団構造と不稔個体のゲノム構成を詳細に調査することとして,自然集団中の進行中の種間交雑の実態を明らかにする方向で進展している. 既に明らかにしていた新種候補Jpn2の小穂長遺伝子を戻し交雑で取り込ませた系統を利用して,種分化に関連する携帯特性を支配する遺伝子の座乗領域推定を進めた.葯長も進化方向を決める形質であり,同時に短い葯長についての戻し交雑集団から座乗染色体領域を推定している.これらの詳細位置が明らかになり次第,クーインズランド大学のヘンリー博士が構築しているJpn2ならびにメリディオナリスのゲノム情報から候補遺伝子の同定に入ることとなった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現地調査もオーストラリアでは順調に進行しており,PNGについても交渉先機関と円滑な協議を行うことができた.現地研究者のイネ遠縁遺伝資源のデータについて論文化についての意見交換を行うとともに来年度の現地調査のサポートを依頼することができた.オーストラリアとは以前から緊密な連携がとれており,今回の固有種と新種の形態形質の候補遺伝子の解析において共同研究としてすすめることが合意できた.さらに,先方の研究者を日本に招いて,日本側の技術を習得することのサポートを行うことができた.このサポートにより,オーストラリア国内の遺伝資源の解析において利用してもらうことにしている. これまで栽培種近縁種についての現地調査やゲノム解析をすすめてきたが,オーストラリアでは遠縁のオーストラリエンシス種が生息している.今回,現地の詳細な生態調査が行えるとともに,サンプル採取を行えた.これから,ツマグロヨコバイの耐虫性を有する遠縁種の多様性評価を進める基礎を作ることができたことは意義深い. ベトナムでは,ベトナムアカデミー南ベトナム農業研究センターとの共同プロジェクトとして,低リン酸耐性野生種のゲノム解析を進めることができたことと,新たに耐性野生種の近隣機関としてアンザン大学との協定を申請者の所属する機関との協定をすすめることができた.このことが来年度以降の研究を推進することにつながると考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
2018年度は,限られた予算を効率的に使うために,調査対象を4つに分けることとして,1つはPNGにおける現地調査を行う,2つめはベトナムの低リン酸耐性野生イネの現地調査と品種改良に向けて現地調査圃場を提供してもらうためにベトナムの研究機関を訪問する,3つめはタイの自生地保全区の発展のために現地担当機関であるイネ局との交渉を行うこと,4つめのオーストラリアではクイーンズランド大学のゲノムデータを実際に利用するために訪問することを予定している.
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