研究課題/領域番号 |
16H05782
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
豊田 剛己 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (30262893)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | Heterodera cajani / pigeonpea cyst nematode / sesame / hatching stimulus / green manure / yield loss |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、ミャンマー国内の主要なゴマ生産地におけるHeterodera cajani(pigeonpea cyst nematode: PCN)の生息状況を明らかにすること、PCNに対して孵化促進効果を有する植物を選抜し、効果的な線虫密度低減法を開発することである。H28年度は、主要なゴマ生産地であるMagway州19圃場、Sagain州14圃場、Mandalay州北部8圃場、Yezin地域19圃場から土壌を採取し、PCNの生息状況を調査した。土壌は圃場全体の任意の5点の表層0-30cmから採取、混合し、各圃場1つのサンプルとした。PCNの生息状況は地域によりまったく異なり、Sagain州とMandalay州北部からは全く検出されなかったのに対し、Yezin地域では約1割、Magway州では約6割の圃場でPCNが検出され、検出された圃場のPCNの平均密度はそれぞれ100±53、36±34卵数/20g土壌であった。Yezin地域の約10aの一筆圃場内に20のプロットを設け、各プロットから5点の土壌を採取・混合し、圃場内の線虫密度のバラツキを見たところ、最大373(卵/20g土壌)、最小7、平均133±89であった。土壌中で休眠状態にあるPCN卵の孵化を促進することによるPCN密度低減を目指し、ササゲ(cowpea)、ゴマ、緑豆、キクを30日間栽培したところ、これらの植物栽培によりPCNの孵化が促進されたことが確認された。また、栽培後植物体を土壌内にすき込み、2週間培養したところ、線虫密度が50%以上低下した。孵化促進効果を有する植物を短期間栽培し土壌にすき込むことによる線虫密度低減法の有用性を確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度調査予定であったゴマ播種時の線虫密度とゴマ収量の関係を見ることができなかった。理由は、天候不順により現地生産者がゴマの栽培を断念したためである。ミャンマーでは気候変動により例年通り作物栽培ができない状況が広がりつつあるようである。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画通り、線虫生息状況の実態把握と線虫防除法の開発を進める。引き続き、ミャンマーの主要なゴマ生産地における線虫汚染状況を調査していくとともに、ゴマ播種時の線虫密度とゴマの収量との関係、殺線虫剤を処理することで、どの程度ゴマの収量が改善されるのか評価していくことで、ミャンマーにおける本線虫汚染の実態を明らかにする。また、さらに多くの種類の植物の効果を評価し、種子の価格、発芽率、初期生育、密度低減効果の上で最適な植物種を選抜する。
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