研究課題
油ヤシプランテーション(OPP)管理下での泥炭の分解速度と分解過程を明らかにするため,メソコスムを用いて5年間培養した泥炭を分析した。その結果,泥炭の種類により分解特性が異なっていた。つまり,微生物分解作用をあまり受けないで堆積していた泥炭は,OPP管理下では,分解速度をほとんど低下させずに5年間分解を続けたのに対し,微生物分解作用をある程度受けて堆積していた泥炭は,OPP管理下での分解速度は著しく低かった。その理由として,前者は,泥炭が細粒化を経て無機化されるのに対し,後者は,細粒化した泥炭が蓄積し,無機化に必要な酸素が泥炭中に十分拡散できなくなることが考えられた。熱帯泥炭をOPPに開発するときには,油ヤシの生育を良くするために泥炭に圧密処理を行うことが推奨されている。この圧密処理が泥炭の分解速度に与える影響を明らかにするため、泥炭の充填密度を変えてカラムに充填し、定期的にカラムから発生する二酸化炭素量を測定しながら培養実験を行った。その結果,泥炭の分解速度は,充填密度に対し凸型に応答した。これらの結果は,泥炭の分解に対する酸素供給の重要性を改めて示した。さらに,OPP内において,泥炭中の酸素濃度と二酸化炭素濃度を深度別に測定し,土壌水分含量との関係を調べた。熱帯湿地原生林内の異なる林地下に堆積した泥炭中の微生物叢について、遺伝子レベルで比較を行い,優占種を調べた。その結果,存在する種には大きな違いが認められなかったがその割合に違いが見られた。原生林およびOPPに開発した熱帯泥炭の地下水中の溶存有機物(DOM)組成の長期モニタリングを10年間継続して行った。その結果、2016以降、地下水中のDOC濃度が上昇した。その原因として、2016年の雨季の降水量が著しく低かったこと,および,園内の一部の地区において油ヤシの伐採とそれに伴う泥炭の攪乱が行われたことが考えられた。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Humic Substances Research
巻: 15 ページ: 33-39