研究実績の概要 |
土壌など多様な微生物を含む環境試料からアフラトキシン生産株を優先的に選択するため、DV-AM法で用いる寒天培地の界面活性剤と抗生剤の更なる最適化を検討し、改良DV-AM法として論文化した。 昨年度、メキシコの共同研究者と分離したAspergillus flavus菌株であるMEX-A19-13とMEX-A19-2nd-5についても論文化し、アフラトキシン産生菌とともに非産生菌をも得ることができたことから、海外共同研究者が、メキシコ国内のアフラトキシン汚染がやや高い地域にて改良DV-AM法を用いたスクリーニングを続けており、バイオコントロール剤(トウモロコシにおける拮抗菌を用いたアフラトキシン汚染低減)の効果の検証に着手している。 さらに昨年マイナーなアフラトキシン産生菌であるA. pseudonomius菌株であるOKI-12(MAFF 111900, JSM Mycotoxins 2018に公表済み)を分離できた国内の沖縄さとうきび圃場土壌より、異なった毒素産生スペクトラムを有した別種の菌株を分離することができた。現在、菌種の同定を行っており、同定後に論文化する予定である。 これまで本研究で得られたA. flavus菌株であるHA9-S1-1(ジーンバンク寄託:MAFF 111859, つくばソルガム試験圃場土壌由来, Mycoscience 2017に公表済)等の菌株について、糖に対する応答性の違いを引き続き解析している。 トウモロコシのアフラトキシン汚染防除のためにケニアの研究者に手法を紹介したほか、香辛料のアフラトキシン汚染が問題となっているミャンマーの研究者にも紹介し、安価で高感度な可視技術として手法の普及を着実に進めている。また、ブラジルロンドリーナ州立大学を訪問し、DV-AM法及びアフラトキシン研究について研究者間で情報交換を行うとともに、大学院生を対象として特別講演を行った。
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