研究課題
最終年度はデータ解析と成果のとりまとめに専念した。(課題1)台湾沿岸域におけるカンパチの行動調査:過去2年に放流した25個体のうち16個体からのデータの回収に成功した。2017年11月に放流し翌2018年8月に再捕された個体からは258日間の深度・温度(水温・腹腔内温度)・位置情報を得ることに成功した。解析個体数は前年度から倍増の16個体に増えたので興味深い結果を得た(以下、課題3で詳述する)。(課題2)カンパチの漁獲統計の整理:台湾の研究協力者より得た台湾東部成功漁港で水揚げされた2000-2018年の漁獲データおよび鹿児島の定置網で収集された2003-2017年の漁獲データを解析した。台湾の漁獲量は年ごとに増加、鹿児島の逆に減少の傾向が認められ、当初の予測から逆の結果となった。台湾のNominal CPUEは経年変化が認められ、ラニーニャが発生していた年(2010-11年)にCPUEが最高値とになり気候変動と連動していることが示唆された。(課題3)行動データの解析:(水平移動)全個体の位置を解析し行動圏を推定したところ、コアエリアは台湾南東部沿岸域と台湾北東部に出現した。カンパチは海底地形が起伏に富んだ東部沿岸域もしくは黒潮が北から北東へ流向を変化させる北東部の大陸棚斜面域の沿岸もしくは陸棚斜面で湧昇が頻発する海域を摂餌場所として選好することが示唆された。(鉛直移動)標識個体は黒潮の流れる表層混合層を避けて季節躍層直下の経験水温が20.1±1.3~22.5±1.9(℃)となる68±28~109±21(m)の深度帯に滞在し、そこから最深で521m、水温差は10℃程度に及ぶ鉛直移動を繰り返していた。また、滞在深度は季節変化が認められ、11月~4月までがやや深く(100m前後)、5月以降は浅くなり、季節的な温度成層の強化に伴い滞在深度を変化させることが示唆された。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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