研究課題
平成28年度はウガンダでの研究拠点とするグル大学とマケレレ大学周辺で肝蛭を採材した。現地コーディネーターと良好な協力関係を築くことに成功し、グル大学が位置するグル市とマケレレ大学が位置するカンパラ市から200虫体以上の肝蛭を得た。(1)分子学的種識別マーカーを用いた流行種の鑑別と技術移転ウガンダを含む東アフリカはFasciola hepaticaとF. giganticaが混在する地域とされる。ホスホエノールピルビン酸カルボキシナーゼ(pepck)遺伝子を用いたMultiplex PCR法によりFasciola hepatica、F. gigantica、両者の交雑子孫を鑑別した。その結果、グル市とカンパラ市の肝蛭は全てF. giganticaであることが判明した。マケレレ大学ではMultiplex PCRを用いた分子学的識別法について、現地スタッフに技術移転を行った。(2)系統解析マーカーを用いた解析ウガンダへの肝蛭の伝播経路を考察するために、ミトコンドリアDNAのNADHデヒドロゲナーゼ subunit 1 (nad1)とシトクロムcオキシダーゼ subunit 1(cox1)遺伝子の多様性に基づく系統解析を実施した。その結果、ウガンダのグル市由来のF. giganticaはザンビア産肝蛭と近縁な関係にあることが判明した。現在、カンパラ市由来のF. giganticaについて解析を進めている。
1: 当初の計画以上に進展している
当初、初回の渡航ではコーディネーターとの顔合わせ、採材計画の打合せを予定していたが、予想以上に計画がうまく進み、初回の渡航時に解析に十分なサンプルを採材することができ、サンプルを持ち帰った後の解析も順調に進捗しているため。また、マケレレ大学では消耗機材や試薬を持参すればPCRを実施できる環境があったため、すぐにMultiplex PCRの技術移転を実施することができたため。
(1)ウガンダ産肝蛭の系統解析ミトコンドリアDNAのnad1とcox1を用いた系統解析を完成させ、ウガンダへの肝蛭の伝播経路を明らかにする。(2)採材地域の拡大ウガンダ由来F. giganticaはザンビア産F. giganticaと近縁な関係にあることが判明した。ウガンダへの肝蛭の伝播経路をより詳細に解明するために、ウガンダ国内、および周辺アフリカ諸国への採材地域の拡大を検討する。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 3件、 査読あり 5件、 謝辞記載あり 2件)
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