研究課題
29年度の研究目標は、インドネシア島嶼群のマラリア疫学調査および三日熱マラリアワクチンの抗原性評価に着手し、日本ーインドネシア二国間の永続的研究協力体制を確立することであった。インドネシア島嶼部(スンバ島)では未だ年間10%前後がマラリアに罹患する中程度マラリア流行地域であり、寄生虫感染症のコントロールが求められている。その対策として殺虫剤含有の蚊帳や蚊取り線香によるマラリアベクターコントロール(媒介蚊の制御)が試みられているが、効果を判定する適正な方法がない。そこでハマダラカがマラリア原虫を伝搬する際に必ず注入する唾液タンパクに注目し、それに対する宿主の免疫応答をベクター暴露率とみなす新規のバイオマーカーを開発することを目標とした。スンバ島住人延べ3,000人を対象とした先行研究では、蚊の増える雨季に本応答が増強することが明らかとなっており、このことから継続的な研究が必要であると考えられる。2017年8月20-30日の11日間、日本側研究者氏名5名がインドネシア島嶼群のマラリア感染地域であるスンバ島に滞在し、相手国研究者とともにマラリア感染流行地域での疫学調査を行った。共同研究者、看護師及び顕微鏡義姉からなるマラリア研究グループのフィールド調査に同行し、現地住人の体温測定、採血、マラリア迅速診断キット及び血液塗抹標本によるマラリア感染有無の評価ならびに一般血液検査などを実施した。調査後の会議において共同研究者とともに血清調査の進捗情報を共有する一方で、渡航期間ならびに2017年に採取されたマラリア感染者血清(100名分)ならびに非感染者血清(60名分)の提供を受けた。薄・濃血液塗抹標本を作製しギムザ染色を行い、現在マラリア感染率を再度確認中である。
2: おおむね順調に進展している
計画通り、インドネシア スンバ島でのマラリアフィールド調査をインドネシア政府研究機関と共同で実施した。
渡航期間ならびに2017年に採取されたマラリア感染者血清(100名分)ならびに非感染者血清(60名分)の薄・濃血液塗抹標本を作製しギムザ染色を行い、現在マラリア感染率を再度確認する。また別の時期に相手国研究者が収集したマラリア患者からの血清サンプル200検体を用いて、日本研究代表者が開発した新規ワクチンプラットフォームの抗原性を評価を実施する。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (14件)
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