研究課題
本研究は、アルテミシニンに対する耐性マラリア原虫の出現と拡散の危惧に対して、現場で患者をフォローするフィールド疫学的研究、原虫の遺伝子解析による分子疫学的、集団遺伝学的研究から、対抗する基礎を確立することを目的としている。2018年度に行ったインドネシア・フローレス島でのフォローアップを含めたマラリア患者のサンプルを解析するとともに、他の地域も含めてフィールド調査を継続して行った。インドネシアでは2008年にアルテミシニン併用療法(ACT)を導入し、マラリア感染者の数を減少させることが出来ており、フローレス島においてもマラリア感染は街の中心地から離れた集落で検出されるのみとなっている。収集したサンプルについて、フィールドに適用可能で簡便な方法でマラリア原虫DNAを検出するリアルタイムPCRを行った。感染率の高くないサンプルにおいては再検討を要する場合もあるが、感染の有無のみならず容易に感染率を知ることが可能で有用性を確認した。フォローアップの出来たすべての感染者で三日後には検出限界以下になり、これらのマラリア原虫はACTに感受性であることを確認するとともに、アルテミシニン感受性との関連が指摘されている熱帯熱マラリア原虫のKelch13遺伝子領域の解析を行って、すべての原虫で変異が認められないことを確認した。さらに、熱帯熱マラリアに加えて、三日熱、四日熱マラリアの感染例を認め、これらを区別することのできる特異的プライマーを設定し、その実用性を確認した。今回単離したマラリア原虫に加えて、これまでに得ている原虫について、薬剤耐性と関連する遺伝子を解析した。抗マラリア薬の使用を停止した後にも、それまでに検出されていなかった耐性型遺伝子を持つ原虫が検出され、それがインドネシアの他の地域に広まっていることを示唆する結果が得られ、詳細な解析を行った。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Malaria Journal
巻: 17 ページ: 475
10.1186/s12936-018-2597-6