研究課題/領域番号 |
16H05824
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
鈴木 淳一 東京大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (90313858)
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研究分担者 |
小室 一成 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (30260483)
青山 典生 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (30611024) [辞退]
和泉 雄一 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (60159803)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 歯周病 / 生活習慣病 / 細菌感染 / 疫学調査 / アジア |
研究実績の概要 |
目的:歯周病が生活習慣病の発症リスクとなることが報告されているが、日本及びアジア諸国間で比較検討した報告はない。生活習慣病において歯周病がどのように関与しているかを、日本およびアジア諸国の患者において明らかにする事が本臨床試験全体の目的である。本概要においては、アジア諸国間の生活習慣病患者調査に先立ち、生活習慣病を有しない対照患者の比較検討を日本、中国、タイ王国間で実施した途中経過をまとめたものを報告する。 方法:東京医科歯科大学歯周病科調査研究(日本)に参加した歯周状態以外健常な23人(平均年齢39.2歳)、首都医科大学附属北京口腔医院調査研究(中国)に参加した歯周状態以外健常な35人(平均年齢 39.5歳)、およびFaculty of Dentistry, Srinakharinwirot University調査研究(タイ王国)に参加した歯周状態以外健常な32人(平均年齢 42.0歳)について、口腔内状況について調査した。口腔内診査項目は残存歯数、代表歯のプロービングポケット深さ(PPD)であり、それぞれ平均+SEMを計算した。 結果:残存歯数は3国間で同様であった。平均PPDにおいては、タイと中国が日本に比して有意に大きい値を示した。さらに、:重症歯周病患者の割合である平均PPDが4mm以上の割合は、タイ(32.2 %)が日本(0 %)に比して有意に大きい値を示した。中国(8.8 %)と日本において有意差は認められなかった。 まとめ:歯磨き等の生活習慣や歯科受診率などの差異が影響していることが示唆され、さらなる調査研究が必要である。次年度以降は、これらのデータを基礎に生活習慣病に関するデータを収集する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
日本国内の調査においては、これまでに1200例以上の情報収集を完了し、解析を始めている。タイ国においては、2017年1月に鈴木淳一と和泉雄一が直接4大学(Srinakharinwirot大学のSrisuwantha歯科医師、Laosrisin学部長、Khon Kaen大学のCharoen学部長、Mahidol大学のThanakun准教授、Chulalongkorn大学のMahanonda准教授等)を訪問し、疫学調査の詳細を討議して情報収集を開始した。中国においては、首都医科大学附属北京口腔医院のWang Dongqing副主任医師の事情により、若干調査の進捗が遅れている。業績としては、現在までに関連する論文を2編発表し、1編in pressの状態である。以上より、進捗は概ね順調であると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
1)末梢血中歯周病原細菌抗体測定および歯周プラーク内歯周病原細菌遺伝子同定:対象者の中で、本研究用の採血および口腔内サンプル採取に同意された方において、歯周病原細菌の血中抗体価をELISAにて、歯周病原細菌遺伝子をPCRにて同定する。 2)患者病歴、合併症および治療: 原疾患の重症度、合併症、内服薬等の情報を収集する。 3)一般血液検査: 血算, 炎症、耐糖能、肝腎機能、心不全マーカー等を測定する。 4)画像検査: 心血管エコー、胸腹部CT、血管造影検査のデータを収集する。 5)歯科診療:治療介入する場合、術前の歯周病を評価し、その後の経過を観察する。 6)統計学的な解析を進める。
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