研究課題
歯周病が生活習慣病の発症リスクとなることが報告されているが、日本及びアジア諸国間で比較検討した報告はない。生活習慣病において歯周病がどのように関与しているかを、日本およびアジア諸国の患者において明らかにすることが本臨床試験全体の目的である。方法として、東京医科歯科大学歯周病科調査研究(日本)、首都医科大学附属北京口腔医院調査研究(中国)およびFaculty of Dentistry, Srinakharinwirot University調査研究(タイ王国)に参加した歯周状態以外健常な者について、口腔内状況を調査し比較した。口腔内検査項目は残存歯数のほか、代表歯のプロービングポケット深さ(PPD)、アタッチメントレベルなどの臨床指標とし、さらに口腔内の歯周病細菌数をPCR法により測定するとともに、血中の歯周病菌に対する抗体価をELISA法により計測した。また、ベトナム・ホーチミン市のUniversity of Medicine and Pharmacyでの調査結果も用いて、上記のデータと比較した。本研究において、アジア諸国間の生活習慣病患者調査に先立ち、生活習慣病を有しない対照患者の比較検討を日本、中国、タイ王国間で実施した。結果として、残存歯数は3国間で同様であったものの、平均PPDにおいてはタイと中国が日本に比して有意に大きい値を示した。平均PPDが4mm以上の割合は、タイが日本に比して有意に大きい値を示したが、中国と日本において有意差は認められなかった。循環器疾患を有する被験者での口腔内状態についての日本とベトナムの比較においては、喪失歯数は日本の被験者で有意に多かった。平均PPDは、ベトナムの方が有意に深い値を示した。クリニカルアタッチメントレベルとプロービング時の出血は、両国間で統計学的な差を認めなかった。国ごとの比較において、歯磨き等の生活習慣や歯科受診率などの習慣的な違いが影響していることが示唆された。これには歯科医療を取り巻く社会的環境が関与しているのかもしれないと考えられ、さらなる調査研究が必要である。
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