研究課題
インドネシアで新たな公衆衛生的課題となっているストレスやうつ病を進化医学的に分析し、リスク要因としての遺伝的多型と、社会の個人主義化の影響を明らかにする研究である。セロトニン・トランスポーター遺伝子やオピオイド受容体遺伝子等の多型がうつ病やストレスと関係することが知られているが、最近の研究によればこのリスク型はアジアの集団主義的社会に多く、そのような個人が個人主義社会に移住することや、人間関係の急変により疾病を発症する可能性が指摘されている。個人主義化が進むインドネシアにおいて、国立中核病院等を拠点としたケース・コントロール研究と、地域社会での横断的研究を用いた研究デザインにより、この因果関係を検証する画期的研究であると同時に、その成果から健康社会の在り方を提案する社会実装型研究である。地域社会レベルや個人レベルで、個人主義や集団主義の程度を定量的に評価宇するために、社会心理学の分野で国際的に用いられている3つの尺度のインドネシア語版を開発した。症例160名、対照160名で、両群に性別・年齢構成に有意差が無いようマッチングをし、質問票により、うつ病患者の社会経済的要因についてもデータを収集して分析を行った.症例・対照各100名の末梢血DNAをもちいテロメア長を計測したところ、うつ病群で短かく、ストレスに曝されていることが示唆された。遺伝的背景との関連では、SLC6A4遺伝子・MAOA遺伝子・DRD4遺伝子・OPRM1遺伝子の遺伝子型をしらべ、症例(99名)と対照(101名)間で分布を比較した。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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Scientific Reports
巻: 102 ページ: 6872
https://doi.org/10.1038/s41598-020-62866-3