研究課題
キルギスではRheumatic fever: (以下、RF)が未だに猛威を奮っている。さらに、顕在化しない RF の後遺症も含めたRheumatic heart diseases (以下、RHD) が食生活 (肉食、ウオッカ)、環境因子 (低酸素) と併せて当該地域での死因の過半数を占める 60 歳までの心不全の潜在的リスクファクターであることを報告していた。10年を超える継続的な医療支援によりキルギスのほぼ全土を網羅する詳細なフィールド調査を行い、RF/RHD の有無、心エコーなど理学的所見、溶連菌など細菌感染症の頻度、家族歴など100を超える項目に関する調査を完遂していた。その結果より、バイオマス燃料による粘膜免疫の低下がその一因であることが推測された。本研究では、新たに呼吸器分野の専門家を加え、両者に共通する感染の遷延化・慢性化に対する宿主因子の探索を行っている。平成30年度は、RF/RHD専門家による2回の、呼吸器内科による1回の疫学調査を行った。これらの調査を通じ。PM2.5 測定のみならず、その防御法の効果の検証を開始した。また、RF/RHD 予防・治療を啓蒙するためのキルギス語によるプロトコールを作成してきたが、昨年度末に完成した。キルギスに訪問した際に、JICAによる頒布の協力が得られることとなった。啓蒙活動の一環として、アジア・太平洋リウマチ学会が中央アジアで最初に主催した「APLAR’S EXTENSIVE COURSE ON RHEUMATOLOGY」に我が国からオーガナイザーの一人として唯一参加し、キルギスのみならず中央アジアのリウマチの専門家に対して本課題の重要性を報告した。また、RF/RHDの後遺症としての心血管障害に対する取り組みとしてリハビリテーションの重要性が明らかとなったため、Zhantai Shambetov医師を招聘し、3か月のトレーニングを行った。
2: おおむね順調に進展している
①フィールド調査、②PM2.5に対する測定方法の導入のみならず、その防御法の実践の開始、③啓蒙活動のためのキルギス語によるプロトコールの完成、④アジア・太平洋リウマチ学会による「APLAR’S EXTENSIVE COURSE ON RHEUMATOLOGY」の開催、⑤リハビリテーションのための人材育成の開始まで進んでいる。①~⑤のいずれもが順調に進んでいるため。とくに②に関しては、防御法の実践にまで至り、当初の計画以上に進展している。
1. フィールド調査。定点観測に関しては選定した全拠点集落に対して引き続き健康、感染症の調査、生活環境に関するアンケート調査を引き続き継続する。2. バイオマスの影響に関しては、PM2.5 の測定とともに、その対策の効果判定を行う。3. RF/RHDに関する研究として、環境、細菌、宿主の三点からの解析を継続する。4. 昨年度、完成させたキルギス語によるプロトコールプロトコールは、健康省、キルギス国立心臓病センター、JICAなどと協力し、キルギス全土への頒布を行う。5. RF/RHD後遺症対策のため、リハビリテーションに関する人材育成と環境改善を行う。
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