2017年7月より2018年10月にかけて、カンホア総合病院産科病棟において分娩された母子から entry criteriaに適合するペアを出生コホートへリクルートし(Part 1)、合わせて、その臨床像からさまざまな先天性感染症が疑われ、同病院新生児集中治療室に紹介入院となった全ての児もリクルートした(Part 2)。 Part 1に登録されたうち二千例超が以下の検査に供された。臍帯血検体に対して風疹IgM/IgG、サイトメガロウイルス(CMV) IgM/IgGおよびジカウイルスIgM検査を実施した。ジカウイルスIgM陽性例に対しては、ジカウイルスおよびその他近縁のフラビウイルスの中和抗体検査を実施した。また唾液検体に対しては、風疹ウイルス、CMV、ジカウイルスのPCR検査を実施した。 Part 2で検討されたのは150例で、Part 1で行った検査に加えて、全血と尿検体に対しても風疹ウイルス、CMV、ジカウイルスのPCR検査を実施した。 Part 1-2を通して先天性風疹感染は認められず、風疹IgG陽性率は79.1%であり、今なお多くの出産可能年齢女性に風疹への感受性があることがわかった。先天性ジカウイルス感染はPart 1で11例(0.55%)、Part 2で1例認められ、ベトナムにおいて先天性ジカウイルス感染が稀ならず起こっていることがわかった。先天性CMV感染例は約2%に認められ、その殆どが出生時点では無症候性であった。先天性感染が証明された児の疫学・臨床的データの解析と、今後のフォローアッププランについて検討中である。
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