研究課題
モロッコ等の北アフリカでは侵襲性歯周炎の有病率が高いことが従来から指摘されてきたが、具体的な有病率や原因ならびに進行のメカニズム等の詳細な情報が不足している。これまでの先行研究において侵襲性歯周炎の原因菌の一つであるA.a菌の病原因子との関連についての報告は散見されるが、地中海食といった地域に特異的な食生活と侵襲性歯周炎との関連性を探索した研究はほとんど認められない。そこで我々は3年間にわたり、モロッコの大学生を対象にMohammed V University歯周病講座のEnnibi教授らのメンバーと共同で口腔と全身の健康状態、食生活等の生活習慣について調査してきた。全身疾患を有する者、過去3ヶ月以内に抗生剤の処方を受けた者ならびに喫煙者は解析除外とした。その結果、1075名のモロッコ人(平均年齢20.2歳、男女比:約2:8)のうち、約7%に侵襲性歯周炎罹患者が認められた。歯周組織検査の結果、侵襲性歯周炎群では平均3ミリの歯周ポケットが認められたのに対し、非侵襲性歯周炎群では2.2ミリであった。3ミリ以上のアタッチメントロスについても侵襲性歯周炎群では11%に認められたが、非侵襲性歯周炎群では0%であった。地中海食のスコア(MDS)を基に回帰分析を行ったところ、スコアは1つ多くなるほど15%程度、侵襲性歯周炎のリスクが低下することがわかった。とくにオリーブオイル摂取単独でみると、侵襲性歯周炎の病態と有意に逆相関の関係にあり、45%リスクが低下することが判明した(交絡因子で調整済み)。以上のことから、オルーブオイルの摂取は侵襲性歯周炎の病態進行に抑制的に作用している可能性が示唆された。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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