研究課題
運動誘発ジター錯視とは明るさの違う境界(例えば赤と黒)と,明るさが等しい境界(例えば赤と緑)が隣接して運動すると実際には揺れていない明るさが等しい境界が一秒間に10回程度揺れて感じられる現象である.この錯視を用いて,知覚されるジター周波数の個人差がアルファ波の周波数の個人差を反映していることを明らかにした.アルファ波は安静閉眼時に行ったため,ジター錯視の結果を反映しているとは考えにくく,脳内に元々存在するアルファ波のリズムでジター錯視が知覚されていることを示唆している.さらに同一被験者内でもアルファ波周波数がわずかに揺らぐという事実に着目し,この揺らぎに応じて,知覚されるジター錯視の周波数が変化することを明らかにした.これらの結果は,刺激入力がなくても存在する自発脳波の一種であるアルファが,ジター錯視の知覚に関係していることを示唆している.従来積極的な機能を持っていないと考えられてきたアルファ波が,視覚情報処理のタイミングを決めていることを示唆する重要な結果である.
2: おおむね順調に進展している
計画書に記載したとおりの実験を行い,期待通りの結果が出ている.
アルファ波とジター錯視の間の因果関係をさらに示すため,アルファ波の周波数を人工的に操作し,それに応じてジター錯視の周波数がどのように変化するのかを明らかにする.特に強度変調電気刺激を使って,電流刺激を与えながら同時にアルファ波の計測を行う技術の開発を目指す.
すべて 2016 その他
すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 4件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 5件、 招待講演 2件) 備考 (2件)
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