アルファ波に基づく領域間相互作用仮説の操作的検証

2020 年度 研究成果報告書

• 研究課題/領域番号: 16H05862
• 研究種目: 若手研究(A)
• 配分区分: 補助金
• 研究分野: 認知科学
• 研究機関: 国立研究開発法人情報通信研究機構
• 研究代表者: 天野 薫 国立研究開発法人情報通信研究機構, 脳情報通信融合研究センター脳情報通信融合研究室, 主任研究員 (70509976)
• 研究期間 (年度): 2016-04-01 – 2020-03-31
• キーワード: アルファ波 / MEG / 生体計測 / コヒーレンス / 領域間相互作用 / 個人差

研究成果の概要

スムースに運動する等輝度の赤，緑境界が，10Hz程度で揺れながら運動して知覚されるジター錯視の周波数が，アルファ波の周波数の個人差および個人内変動と対応して変化することを示した．さらに経頭蓋交流電気刺激を用いてアルファ波の周波数を変調する技術を開発し，アルファ波周波数の操作に対応してジター錯視の見えが変化することを示した．これらの結果からアルファ波がジター錯視と密接に関連していることが示唆される．さらにMEGデータに対するコヒーレンス解析により背側，腹側領域間の情報のやりとりがジター錯視知覚時に増大したことから，アルファ波が視覚領域間での情報伝達のリズムを決定している可能性が示された．

自由記述の分野

認知脳科学

研究成果の学術的意義や社会的意義

ジター錯視の見えの周波数がアルファ波の周波数と対応して変化することを見いだした本研究の結果に基づき，スマートフォンやタブレットを使ってジター周波数を計測することでアルファ波の周波数を計測する技術を開発し，iOS, Android のアプリに実装した．本アプリを使って，脳波計やMRIなどによって脳を直接測ることなく、脳の状態をいつでもどこでも気軽に計測することが可能となり，スマートウォッチを用いた活動量，睡眠計測と同様の手軽な生体計測が実現された．今後得られるビッグデータに基づき精神疾患，認知症等の未病対策に繋げられる可能性があり，企業と組んで社会実装を進めていく予定である．