レンズの光学結像に基づく従来型の光イメージングでは,光学系のサイズが計測情報量に比例して大型化する.この問題を解決する技術として,符号化光学素子による像情報の符号化と信号処理による像情報の復号を組み合わせたコンピュテーショナルイメージングが研究されており,レンズレスイメージングや圧縮センシング等に応用されている. 本研究では,三次元構造を有する符号化開口を用いたコンピュテーショナルイメージングの設計と実証に取り組んだ.従来型の二次元的な構造を有する符号化開口と比較して,符号化開口が三次元構造を持つことで角度選択的・波長選択的な像情報符号化が実現できることを実験的に明らかにした.また,高画質化(逆問題の良条件化)に必要な点像分布関数(符号化パターン)を解析し,それを具現化する体積ホログラムに基づく符号化素子の構造及び実装法を設計した.三次元符号化光学素子実装のための光学系及び制御系を開発し,材料や実験方法,実験条件を最適化することで,ピーク波長において50%程度の光利用効率を達成した.また,画像再構成に必要となる,圧縮センシングに基づく逆解析処理系を開発した.これらの実装した符号化光学素子及び逆解析処理系を組み合わせ,提案するイメージングシステムのプロトタイプを構築し,その効果を実験により実証した.
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