研究課題/領域番号 |
16H05866
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
鳴海 拓志 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 講師 (70614353)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | Redirecred Walking / 視触覚相互作用 / 空間知覚 / バーチャルリアリティ / クロスモーダル |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,空間知覚をユーザに悟られることなく操作することで, 狭い実空間を歩き回っているにもかかわらず広大なVR空間での移動を体験可能にするRedirected Walking(RDW)技術に触覚刺激を導入した新手法「視触覚RDW」を実現し,従来の10分の1以下のスペース(5m 四方程度)でRDW を可能にすることである.視触覚相互作用による体性感覚操作手法を応用することで,より強力に空間知覚を操作可能にし,既存手法では不可能な狭い空間で「直進し続ける」RDW手法を実現する.そのために(1)空間知覚の効果的な操作に必要な視触覚提示条件の明確化,(2)視触覚RDWのための触覚刺激提示デバイスの構築,(3)視触覚RDW手法の効果検証に取り組む. 平成28年度は,視触覚相互作用を用いて空間知覚を操作しRDWを実現する基本手法の構築を行った.視触覚相互作用による曲率知覚変化の解明と曲率操作RDW手法の実現として,さまざまな凸面の壁を触りながら直線または曲線上を歩かせる際,視覚的には直線の壁を提示することで空間知覚がどのように変化するかについて検証を行い,曲率操作の特性を評価した.また,半円状の壁を2つ並べて通路を作ることで三叉路を作り出し,より複雑な実環境とバーチャル環境との対応付けを可能にする手法を提案し,Unlimited Corridorを制作した.Unlimited CorridorはSIGGRAPH E-techに採択された他,文化庁メディア芸術祭で優秀賞を獲得するなど,高い評価を受けた.さらに,視触覚相互作用による勾配知覚変化の解明と移動距離・勾配操作RDW手法の実現として,階段の昇降感覚を提示する新規RDW手法を提案・実現した.階段のエッジに相当する箇所の床面に1cmの突起を設置するだけで,視覚操作のみの場合と比べて強い昇降感覚を生起できることを明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
曲率操作,昇降感覚操作に関して期待以上の成果が得られている.また,SIGGRAPH Emerging Technologies採択といった技術面での評価だけでなく,文化庁メディア芸術祭エンタテインメント部門優秀賞の受賞など,本技術が実現するVRコンテンツの可能性も高く評価されており,技術への注目と社会展開の可能性が高まっていることから,当初計画以上の進展が得られたと考える.
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今後の研究の推進方策 |
これまでに順調な成果が得られているため,引き続き現在の体制で研究を進める.基本アルゴリズムを拡張するとともに,触覚提示の多様化や簡略化を目指す.
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