研究課題
本研究の目的は,空間知覚をユーザに悟られることなく操作することで, 狭い実空間を歩き回っているにもかかわらず広大なVR空間での移動を体験可能にするRedirected Walking(RDW)技術に触覚刺激を導入した新手法「視触覚RDW」を実現し,従来の10分の1以下のスペース(5m 四方程度)でRDW を可能にすることである.視触覚相互作用による体性感覚操作手法を応用することで,より強力に空間知覚を操作可能にし,既存手法では不可能な狭い空間で「直進し続ける」RDW手法を実現する.そのために(1)空間知覚の効果的な操作に必要な視触覚提示条件の明確化,(2)視触覚RDWのための触覚刺激提示デバイスの構築,(3)視触覚RDW手法の効果検証に取り組む.平成29年度は(1)および(2)として,回転操作に対応した視触覚RDW手法の構築を行った.物体に触れている手を表示する場合,これまでのRDWでとられてきた回転操作のように,バーチャル身体全体を回転させると物体に触れる手の表示位置まで動いてしまい,手と接触物体との位置の整合性がとれなくなる.そこで身体と視点を別個に回転させ,物体に触れている見かけを保ったまま回転操作が可能な手法を構築にした.この手法を用いて実際には四角形のテーブルに触れて周囲を歩いているにも関わらずバーチャル世界では三角形や五角形など異なる形のテーブルに触れて歩いているように感じさせることが可能なシステム"Magic Table"を構築した.また,ロール方向だけでなくヨー・ピッチ方向にも視点を操作することで効果的なRDWを行う手法を提案し,これを取り入れたシステムとしてMobius Walkerを構築した.これらのシステムはSIGGRAPH ASIA E-techに採択され,Mobius WalkerについてはE-tech Awardを獲得する等,高い評価を受けた.
2: おおむね順調に進展している
前年度の大きな進展をベースとして,順調に計画を進められたため.
これまでに順調な成果が得られているため,引き続き現在の体制で研究を進める.
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (24件) (うち国際学会 7件、 招待講演 13件) 図書 (3件)
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