本年度は,前年度の研究で構築した,スマートフォン上で日常の交通行動(歩行,自転車乗用,自動車運転)の計測,解析・認識を同時に行うことが可能な人間行動センシングプラットフォームを用い,歩行者,自転車,自動車,それぞれの利用者に対して,リアルタイムに安全アドバイスを提供するシステムを開発した. 自動車運転者を対象とした公道上実証実験では,高齢者を含む282名の運転者を実験参加者とし,リアルタイム安全アドバイス提供の有用性を検証した.実証実験では,近畿地方の公道に設定した約3.2kmのコースを走行してもらい,コース上に設定した6箇所の評価対象交差点において運転行動の計測・評価・安全アドバイスの提供を行った.その結果,リアルタイムアドバイスを提供することにより,(1)良い運転評価の安全アドバイスを提供した場合には,それ以降も良い運転評価が続く傾向にあること,(2)改善を促す安全アドバイスを提供した場合には,以降に運転行動の改善が認められること,を確認した.併せて,2名の高齢者に継続的にシステムを使用してもらう実証実験を実施した. 歩行者・自転車乗用者10名を対象とした公道上実証実験では,近畿地方の公道に設定した約1.5kmのコースを走行してもらい,コース上に設定した6箇所の評価対象交差点において歩行中・自転車乗用中の行動を計測し,自動車運転者向けの運転行動評価アルゴリズムを歩行者,自転車に適用できるよう拡張したアルゴリズムを用い,行動の評価ならびに安全アドバイスの提供を行った.その結果,歩行者・自転車乗用車に対しても自動車運転者と同様に,改善を促す安全アドバイスを提供することにより,行動の改善が認められることを確認した.
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